【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた

「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」

 高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。

 この婚約破棄は数十分前に知ったこと。

 きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ!

「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」

 だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。

「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」

「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」

「憎いねこの色男!」

 ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。

「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」
「女泣かせたぁこのことだね!」

「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」
「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」

 さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。

設定はふわっと。

『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。
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