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8 殺戮隊あらわる
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1
建物の外観が、灰色から薄茶色に変わった。
一街区から二街区に入ったのだ。
三毛猫の銀次郎は緑の芝を走った。
追ってくる集団は、細かい枝が密集する柾の垣根にはばまれた。
そのすきに銀次郎は、建物の反対側にぬける通路にたどり着いた。
が、そこにはどこから現れたのか、五匹の大柄のサビ猫が出口をふさいでいた。
銀次郎は足をとめ、背後をふり返った。
どうしたらいいかと、あたりを見回す。
すると、右の棟のベランダの下の空鉢の陰から声がかかった。
「三毛、こっちだ。はやく、はやく」
壮年の茶トラだった。
オレンジの縞模様で、穏やかな目の色だ。
こっちだと言って反対側に体をむけたとき、ペコンと凹んだ股間が見えた。
日ノ元団地の猫だった。
銀次郎は言われるまま、空鉢の陰にまわりこんだ。
垣根をくぐりぬけたサビ猫たちが、どっと踏みこんできた。
殺気だった殺戮隊は、反対側の通路で待ちうけていた五匹のサビ猫と鉢合わせをした。
「ぎやおーう」
「うおーおう」
噛みつきあい、取っ組みあいになった。
芝の上を転げまわる、二十数匹と五匹の戦いだ。
刃物も光り、ぎゃーっと悲鳴があがる。
「見てください。日ノ元団地にテロリストを忍びこませ、何かがあったときのために待機させていたんです。でも今まで顔を合せたことのなかった仲間だったので、やりあっているのです」
銀次郎と茶トラは、味方同士で闘うサビ猫の叫び声を植木鉢の陰で聞いていた。
「見てました。すごいですね。あいつらに反抗し、やっつけた日ノ元の猫、あなたが初めてです」
茶トラはサビ猫たちの雄叫びを耳に、体を小刻みに震わせながら銀次郎をたたえた。
「日ノ元郷の猫族は、暴力沙汰を嫌います。どうなるかと見ていてどきどきしました」
信じられないと、茶トラは銀次郎の姿に目を見張る。
「スーパーマンみたく強いけど、今度あらわれたのは、刃物をくわえた殺戮隊ですよ」
どうします? と見開いた目で訊ねる。
「テロリストとか殺戮隊とかって、なんで日ノ元団地にいるんだ?」
当然のごとく銀次郎は聞きかえした。
「やつらはここを乗っ取ろうとしているんじゃないかな。今のところ日ノ元のようすをうかがって活動を控えているようだが、本当のところは分りません」
「乗っ取るだって? そんなこと、日ノ元のみんなが許さないだろう?」
「それは許したくないけど、みんな、どうしたらいいのか分からない。黙っているか、そういう事実を知らないか、あるいは関わりたくないので無関心を決めこんでいるかだな」
銀次郎は、気になっていたもう一つの質問をした。
「あいつら、刃物なんか持っているけど、いったいどうやって揃えたんだ」
「一街区に住む異国人が面白がって首にかけたら、サビ猫たちがたちまち使いかたを覚えてしまったということらしい。ここらはほとんどが異国人ですから、また猫が騒いでらあ、としか思いません。ちらちらと窓の外をながめるだけです。猫がぎゃあぎゃわめいて、異国らしくて賑やかでいいと、楽しんでいるかも知れません」
猫の騒ぎが異国らしい、はともかく、刃物まで持った殺戮隊とやらの出現だ。
こんなことがあるのかと、銀次郎はただおどろくばかりだった。
「この一階のベランダの下に積まれた植木鉢の陰が、私の棲み家です。あいつらは争いあっていますが、味方同士だということにすぐ気づきます。上のほうに逃げましょう」
さっきから、そわそわしていた茶トラだった。
そう促すと三、四歩踏みだし、背をのばした。
コンクリートの壁の角に爪を掛け、うっと力をこめる。
そして、頭上のベランダに這いあがった。
銀次郎もあとを追う。
さらに、ベランダの隅におしつけられた棚に跳びうつり、二階にあがる。
「ぎゃおー、んぎやおー」
下の庭ではまだ大騒ぎだ。
2
二階のベランダには、なにやら妙な漢字らしき文字が書かれた看板や、電気製品や毛布や衣類が乱雑に積み重ねられていた。ごみの集積場みたいだ。
「こいつら、なんだって拾ってきて溜めやがる。なにもない田舎からでてくるのか、みんな貴重品に見えるんだろう。もう一階上にあがりましょう」
地上のサビ猫たちは、対決相手の間違いに気づいたのか、芝生の庭が静かになった。
銀次郎はガラクタの荷物の上から、さらに三階にあがった。
三階のベランダは塵もなく、きれいだった。
物干し竿に、ひらひらと女物の衣類が揺れている。
桃色の、意味深なデザインの下着も干されている。
外の騒ぎにおかまいなく、部屋のなかから歌声が聞こえていた。
古い整理棚が、左端の換気扇の排気口の横に置かれている。
その上に、蓋を内側に折られた段ボール箱が積まれていた。
茶トラと三毛猫の銀次郎は、その空箱のなかに入りこんだ。
二匹ならんで段ボールの縁から顔をだし、部屋をのぞいた。
美しい赤い毛並みのサビ猫だった。
そのサビ猫は、アイロンを掛けながら歌を唄う女主人の膝元で、目を細めている。
女主人は、もちろん異国人である。
「あの猫はエサバー出身ですよ。二年前、ここに住んでいた独身の人間の男が、付近の日ノ元の野良猫をつれてきて飼った。その猫はときどき外出させてもらい、エサバーでサビ猫の女に惚れた。それでその日、二匹で帰ってきた猫を男は家に入れた。仲良しの二匹がうらやましくなったのか、男も異国人の嫁さんをもらった。ところが急の病で男が亡くなると、日ノ元の猫も亡くなった。待っていたように鬼花郷に住む異国人の男があらわれ、夫婦となった。そして、鬼花郷からきた牡のサビ猫もここで暮らすようになった」
部屋をのぞきながら、茶トラが説明する。
ふだんから、鬼花郷のサビ猫や日ノ元団地に住む異国人を観察していたようだ。
なんだか妙な具合になっているなと、段ボールの箱から顔をだした銀次郎は、ガラス越しに部屋のようすをうかがった。
この家の人間の奥さんは、アイロンを当てながら、くねくねした独特の節とリズムの歌を唄っている。そのそばで、サビ猫の牝がうっとりと聴いている。
エサバーの百恵は、何匹もの仲間が日ノ元の男といっしょになり、団地で暮らしていると語った。
「そういうのって、二街区のここの棟だけのできごとなの?」
「まだ一、二街区が中心ですが、最近では団地のあちこちで耳にするようになりました。特にエサバーのホステスといっしょになった日ノ元の猫が、やられているようです。そして、いつの間にか一街区には異国人が住み、規則を無視して鬼花郷のサビ猫を飼うので、ここはもう鬼花郷のサビ猫の天下です」
「鬼花郷のサビ猫は、日ノ元郷を自分たちのエリアにしようと狙っているんだろうか?」
「既成事実を積み重ね、よくある日常の出来事でもあるかのように思わせようとしている感じちょっとしますけど」
茶トラは、情けなさそうに目をしばたたく。
よくある日常の出来事? 銀次郎の頭が熱くなった。
今まで無抵抗でおとなしかった日ノ元族に急に反撃され、おどろいて殺戮隊まで出動させた鼻黒の意図を銀次郎は感じた。
そうと分かったら、日ノ元側が対策を講じるのであろうが、なにもしていないようなのだ。
以前の自分だったら、すごい世の中になったなあ、と溜息をつき、そのまま黙って引っこんでしまっただろう。
そして、そっと忘れ去った。
しかし今は、牡の三毛猫の力がたぎっている。
力が勇気を与えてくれるのだと銀次郎は、このとき初めて気がついた。
茶トラが続けた。
「それで、どうしたらいいかって考え、あちこち説得して歩いたけど、誰もその気にならなかった。日ノ元郷はずっと平和で、争ったり戦ったりして自分たちを守るという考えがなかったので、みんな途惑った。自分たちが正しく生きていれば、平和は自然にやってくるものと信じていたしね」
「もし、殺しにくる相手がいたら、逃れるためには相手を殺すか力でねじ伏せるしかない。そうしなければ、いくら自分が品行方正であって正義感にあふれていても、私情に関係なく相手は襲ってくる。日ノ元郷の猫族は、考えを改めなければならないな」
無気力で生きてきて、疲れてしまった自分だ。
こんなことは、恥ずかしくて言える身ではなかった。しかし、口からでた。
三階のベランダからは、庭の芝に点々と転がる死体が見えた。
サビ猫たちが、味方同士で殺しあったのだ。
猫の騒ぎにおどろき、人間が姿を見せた。
しかし、『なんだ、猫の勢力争いか』とすぐに引っこんだ。
異国人が多く住むここでは、野良猫の喧嘩など日常茶飯事なのか。
それらの有様をすこし離れた石の台の上で、鼻黒のじじいが見張っていた。
石の台は、団地の街区と棟の番号を表す標識になっている。
「おれをやっつけるため、いよいよ本気になっているようだけど、あいつは何者なんだ」
茶トラは、三毛猫の銀次郎といっしょにならび、段ボールの箱から首をのばした。
「あいつはエサバーにいた鼻黒のじじいだ。びっくりしてんだよ。殺戮隊とやりあい、やっつけたも同然の活躍だったからな」
3
実はびっくりしているのは、三毛猫の銀次郎も同じだった。
日常の戦いのごとく、猫が猫を殺すのだ。
人が人を殺すのと同じである。
そのために、武器を持った殺し専門の殺戮隊まで組織しているのだ。
なんてことだと、ぼんやりしかけた。
だが、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「実はあいつは、日ノ元団地生まれのサビ猫だ。ここの三番目のボスだったけど、鬼花郷からやってくるサビ猫の罠にはまって酒と女に溺れ、みだらな生活で腰の毛も抜け、いつの間にかあんなになってしまった。将来は日ノ元郷に新設する全エサバーの支配人にしてやると約束されたという噂で、すっかりその気になっている」
「三番目のボスということは、一番と二番がいるってことだよな。一番と二番はどうしたの?」
「そこの国道16号で干乾びてた。他にもやられた奴があちこちいるようだけど、みんないろいろで、嚙み殺されたり、刺殺されたり、毒殺だったり、首吊り自殺に見せかけられたりで、日ノ元はいつしか闇だらけになってしまった。外からくるサビ猫たちが怪しいと疑問を投げかける者がいたけど、疑いを抱くそいつもどこかに消えたり、国道で干乾びたりしていた。日ノ元族は見えない恐怖を感じ、見ざる聞かざる言わざるで、各街区の寄合会をはじめ、あらゆる組織が機能しなくなってね」
バスで駅から家に帰るとき、銀次郎は団地のちかくの国道で、ぺしゃんこになった猫を何匹も見た。
やけに轢かれているけど、こんな所までのこのこでてくるんじゃないよ、ここはびゅんびゅん車がとおっている国道だよ、とうれえた。
人のときは分からなかった。
しかし、日ノ元の猫の世界では、大変ななにかが起こっていたのだ。
「なあ、茶トラさん、ヨボジイというのはどんなやつなんだ?」
「ヨボジイ? 知らないね」
あっさり首をふった。
鼻黒はヨボジイの名を聞いて興奮したようだが、茶トラは無反応だった。
銀次郎と茶トラが話し合っていると、騒ぎのおさまった庭に一匹のサビ猫が姿をあらわした。
「あ、あいつ、こっちを見てるぞ」
その猫が、三階の棚の上のダンボール箱から首をだした三毛と茶トラに、きりっとした視線をむけた。
あわてて首をひっこめようとしたが、もう遅かった。
そのサビ猫は腰を落とし、四本の足を踏ん張り、空にむかって叫んだ。
「ぎやおう、ぎやおぎゃお~」
時ならぬ猫の叫び声が、団地の庭に響きわたった。
すると味方同士の争いを終え、どこかで待機していたらしい殺戮隊のサビ猫がいっせいに飛びだしてきた。
先頭の何匹かが、口元を光らせている。
「見つかった。逃げろ」
茶トラと銀次郎は、段ボールの箱から飛びだした。
いち早く下におりようと、ベランダの手摺にぶらさがろうとした。
その勢いでダンボールの箱が棚から落ち、ベランダの花植えの植木鉢が、がしゃがしゃとひっくり返えった。
物音におどろき、アイロンを当てていたその家の奥さんがガラス戸を開けた。
そして、ベランダの手摺に吊りさがる二匹の猫を見つけた。
奥さんの足もとからは、元エサバーのホステスだった美人のサビ猫も顔をのぞかせた。
「三毛猫と茶トラの日ノ元の猫、ここにいるよー」
美人のサビ猫が、偵察猫の雄叫びに応呼した。
ベランダの柵から眼下に目をやると、何匹ものサビ猫が集まっていた。
「やつら、もう一階の庭先にきてやがる。やばい」
銀次郎はベランダの鉄柵にぶら下がり、からだを揺らしていた。
鉄柵にぶらさがりながら、おばさんとサビ猫が顔をだすガラス戸の奥をうかがった。
「家のなかに飛びこもう。裏の窓から下の家の出窓におりられるぞ」
振り子の態勢で、銀次郎が提案する。
「いくぞ」
「よし」
二匹で声をあわせ、さらに大きくからだをふった。
ガラス戸を開け、一人と一匹が顔をだしている。
その隙間に銀次郎と茶トラの二匹が、鉄柵から飛んだ。
思わぬ日ノ元の野良猫の攻勢に、一人と一匹は身をのけぞらせた。
高く跳んだ茶トラは、化粧の濃いおばさんの頬に爪を立てた。
低く飛んだ銀次郎は、下からのぞくサビ猫の顔面に頭突きを食らわせた。
部屋に飛びこんだ二匹は、裏の出窓のベランダを目指し、奥へ走った。
奥さんが掛けていたアイロンは、男物のズボンだった。
それを踏みちらし、裏窓につうじる玄関前の廊下にでた。
するとそこに、一人の男がパンツ一枚でひっくりかえっていた。
その家の亭主のようだった。
数本の酒の瓶が玄関に転がっている。
そのうちの一本が、ドアにはさまっていた。
「玄関から外にでられるぞ」
茶トラが、扉にはさまれた酒瓶を跳びこえた。
遅れて銀次郎もあとを追う。
つづら折りの階段を、茶トラが一気に跳ぶ。
二階、一階と曲がり角のある各階を二回のジャンプでおりきる。
「ぎゃあ」
先に庭におりた茶トラが、鋭い悲鳴をあげた。
4
そこには事態にそなえたサビ猫が、刃物をかまえて待っていた。
空中を飛び、前足をそろえて着陸した茶トラは、刃物を横に払われた。
腕から下の前足を切り取られた。
悲鳴をあげ、のめって転げる。
後ろ足で立ったところを、また刃物を払われた。
手足を奪われて腹這ったとき、尻尾も切り落とされた。
茶トラは、楕円形の肉のかたまりとなった。
わめいて地面をローリングした。
この残酷な待ち伏せを、物陰にひそんでいた日ノ元の猫たちが目撃していた。
しかし、誰も助けようとはしなかった。
蒼ざめ、ただ震えていた。
三毛猫の銀次郎は、エサバー出身の女に頭突きを食らわせたおかげで体勢がくずれた。
だから、茶トラよりも一足遅れた。
銀次郎は、茶トラの叫び声を聞いて事態をさっした。
銀次郎は、下の芝生に陣取る殺戮隊の背後に跳んだ。
着地と同時に、後ろから一匹の首筋に噛みついた。
するとそのサビ猫は、くわえた刃物を口からこぼした。
銀次郎は、刃物を口で拾った。
明らかに、殺傷のために用意されたものだった。
刃先が鋭く磨がかれていた。
「いやあ」
銀次郎は小さく叫んだ。
まずはその刃物の持ち主の下半身を、一気に払った。
四本の足を一瞬にして失ったその猫は、どすんと胴体で地面に這った。
おどろいて銀次郎を見あげる。
「おれは昔、剣道やってたんだ」
今さらのごとく、銀次郎は思いだした。
銀次郎は顎と腰に力をこめ、左右に首をふった。
切れ味のするどい刃物だった。
肩口を傷つけるつもりだったが、右と左にいた二頭の首をぽろっと落した。
「ぎゃおー」
叫んだのは、三毛猫の銀次郎のほうだった。
あまりにもあっさり首が落ちたからだ。
だが、サビ猫たちはそれを銀次郎の雄叫びととらえた。
こうなったらついでに、みんなやっつけてやる、見てろ、と銀次郎は殺戮隊のなかに飛びこんだ。
「いあやっ、おうっ、ええいっ」
懐かしい剣戟だった。
茶トラを残酷に切り刻んだサビ猫たちを、次々に斬り倒した。
情けは無用だった。
おれは玉のついた三毛猫だ、どうだ、と名乗りたくなるほど高揚した。
刃物を持ったサビ猫たちは、ただ首を左右に動かしているだけだ。
銀次郎から見れば、子供のチャンバラごっこだ。
茶トラがやられたように、手あたりしだい相手の手足、尻尾を斬り落とした。
斬られ、転がって悲鳴をあげる仲間に、鬼花郷の殺戮隊は震えあがった。
「に、にげろ」
あわてて逃げだした。
危機を感じたら、稲妻よりも素早く行動する。
あとに、首と手足のない肉の塊がいくつも転がった。
とりあえずは三街区へいこう、自分の部屋にもどろう。
銀次郎も、芝の庭を駆けだした。
早く八田刑事やうららに会い、報告したかった。
8章了
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建物の外観が、灰色から薄茶色に変わった。
一街区から二街区に入ったのだ。
三毛猫の銀次郎は緑の芝を走った。
追ってくる集団は、細かい枝が密集する柾の垣根にはばまれた。
そのすきに銀次郎は、建物の反対側にぬける通路にたどり着いた。
が、そこにはどこから現れたのか、五匹の大柄のサビ猫が出口をふさいでいた。
銀次郎は足をとめ、背後をふり返った。
どうしたらいいかと、あたりを見回す。
すると、右の棟のベランダの下の空鉢の陰から声がかかった。
「三毛、こっちだ。はやく、はやく」
壮年の茶トラだった。
オレンジの縞模様で、穏やかな目の色だ。
こっちだと言って反対側に体をむけたとき、ペコンと凹んだ股間が見えた。
日ノ元団地の猫だった。
銀次郎は言われるまま、空鉢の陰にまわりこんだ。
垣根をくぐりぬけたサビ猫たちが、どっと踏みこんできた。
殺気だった殺戮隊は、反対側の通路で待ちうけていた五匹のサビ猫と鉢合わせをした。
「ぎやおーう」
「うおーおう」
噛みつきあい、取っ組みあいになった。
芝の上を転げまわる、二十数匹と五匹の戦いだ。
刃物も光り、ぎゃーっと悲鳴があがる。
「見てください。日ノ元団地にテロリストを忍びこませ、何かがあったときのために待機させていたんです。でも今まで顔を合せたことのなかった仲間だったので、やりあっているのです」
銀次郎と茶トラは、味方同士で闘うサビ猫の叫び声を植木鉢の陰で聞いていた。
「見てました。すごいですね。あいつらに反抗し、やっつけた日ノ元の猫、あなたが初めてです」
茶トラはサビ猫たちの雄叫びを耳に、体を小刻みに震わせながら銀次郎をたたえた。
「日ノ元郷の猫族は、暴力沙汰を嫌います。どうなるかと見ていてどきどきしました」
信じられないと、茶トラは銀次郎の姿に目を見張る。
「スーパーマンみたく強いけど、今度あらわれたのは、刃物をくわえた殺戮隊ですよ」
どうします? と見開いた目で訊ねる。
「テロリストとか殺戮隊とかって、なんで日ノ元団地にいるんだ?」
当然のごとく銀次郎は聞きかえした。
「やつらはここを乗っ取ろうとしているんじゃないかな。今のところ日ノ元のようすをうかがって活動を控えているようだが、本当のところは分りません」
「乗っ取るだって? そんなこと、日ノ元のみんなが許さないだろう?」
「それは許したくないけど、みんな、どうしたらいいのか分からない。黙っているか、そういう事実を知らないか、あるいは関わりたくないので無関心を決めこんでいるかだな」
銀次郎は、気になっていたもう一つの質問をした。
「あいつら、刃物なんか持っているけど、いったいどうやって揃えたんだ」
「一街区に住む異国人が面白がって首にかけたら、サビ猫たちがたちまち使いかたを覚えてしまったということらしい。ここらはほとんどが異国人ですから、また猫が騒いでらあ、としか思いません。ちらちらと窓の外をながめるだけです。猫がぎゃあぎゃわめいて、異国らしくて賑やかでいいと、楽しんでいるかも知れません」
猫の騒ぎが異国らしい、はともかく、刃物まで持った殺戮隊とやらの出現だ。
こんなことがあるのかと、銀次郎はただおどろくばかりだった。
「この一階のベランダの下に積まれた植木鉢の陰が、私の棲み家です。あいつらは争いあっていますが、味方同士だということにすぐ気づきます。上のほうに逃げましょう」
さっきから、そわそわしていた茶トラだった。
そう促すと三、四歩踏みだし、背をのばした。
コンクリートの壁の角に爪を掛け、うっと力をこめる。
そして、頭上のベランダに這いあがった。
銀次郎もあとを追う。
さらに、ベランダの隅におしつけられた棚に跳びうつり、二階にあがる。
「ぎゃおー、んぎやおー」
下の庭ではまだ大騒ぎだ。
2
二階のベランダには、なにやら妙な漢字らしき文字が書かれた看板や、電気製品や毛布や衣類が乱雑に積み重ねられていた。ごみの集積場みたいだ。
「こいつら、なんだって拾ってきて溜めやがる。なにもない田舎からでてくるのか、みんな貴重品に見えるんだろう。もう一階上にあがりましょう」
地上のサビ猫たちは、対決相手の間違いに気づいたのか、芝生の庭が静かになった。
銀次郎はガラクタの荷物の上から、さらに三階にあがった。
三階のベランダは塵もなく、きれいだった。
物干し竿に、ひらひらと女物の衣類が揺れている。
桃色の、意味深なデザインの下着も干されている。
外の騒ぎにおかまいなく、部屋のなかから歌声が聞こえていた。
古い整理棚が、左端の換気扇の排気口の横に置かれている。
その上に、蓋を内側に折られた段ボール箱が積まれていた。
茶トラと三毛猫の銀次郎は、その空箱のなかに入りこんだ。
二匹ならんで段ボールの縁から顔をだし、部屋をのぞいた。
美しい赤い毛並みのサビ猫だった。
そのサビ猫は、アイロンを掛けながら歌を唄う女主人の膝元で、目を細めている。
女主人は、もちろん異国人である。
「あの猫はエサバー出身ですよ。二年前、ここに住んでいた独身の人間の男が、付近の日ノ元の野良猫をつれてきて飼った。その猫はときどき外出させてもらい、エサバーでサビ猫の女に惚れた。それでその日、二匹で帰ってきた猫を男は家に入れた。仲良しの二匹がうらやましくなったのか、男も異国人の嫁さんをもらった。ところが急の病で男が亡くなると、日ノ元の猫も亡くなった。待っていたように鬼花郷に住む異国人の男があらわれ、夫婦となった。そして、鬼花郷からきた牡のサビ猫もここで暮らすようになった」
部屋をのぞきながら、茶トラが説明する。
ふだんから、鬼花郷のサビ猫や日ノ元団地に住む異国人を観察していたようだ。
なんだか妙な具合になっているなと、段ボールの箱から顔をだした銀次郎は、ガラス越しに部屋のようすをうかがった。
この家の人間の奥さんは、アイロンを当てながら、くねくねした独特の節とリズムの歌を唄っている。そのそばで、サビ猫の牝がうっとりと聴いている。
エサバーの百恵は、何匹もの仲間が日ノ元の男といっしょになり、団地で暮らしていると語った。
「そういうのって、二街区のここの棟だけのできごとなの?」
「まだ一、二街区が中心ですが、最近では団地のあちこちで耳にするようになりました。特にエサバーのホステスといっしょになった日ノ元の猫が、やられているようです。そして、いつの間にか一街区には異国人が住み、規則を無視して鬼花郷のサビ猫を飼うので、ここはもう鬼花郷のサビ猫の天下です」
「鬼花郷のサビ猫は、日ノ元郷を自分たちのエリアにしようと狙っているんだろうか?」
「既成事実を積み重ね、よくある日常の出来事でもあるかのように思わせようとしている感じちょっとしますけど」
茶トラは、情けなさそうに目をしばたたく。
よくある日常の出来事? 銀次郎の頭が熱くなった。
今まで無抵抗でおとなしかった日ノ元族に急に反撃され、おどろいて殺戮隊まで出動させた鼻黒の意図を銀次郎は感じた。
そうと分かったら、日ノ元側が対策を講じるのであろうが、なにもしていないようなのだ。
以前の自分だったら、すごい世の中になったなあ、と溜息をつき、そのまま黙って引っこんでしまっただろう。
そして、そっと忘れ去った。
しかし今は、牡の三毛猫の力がたぎっている。
力が勇気を与えてくれるのだと銀次郎は、このとき初めて気がついた。
茶トラが続けた。
「それで、どうしたらいいかって考え、あちこち説得して歩いたけど、誰もその気にならなかった。日ノ元郷はずっと平和で、争ったり戦ったりして自分たちを守るという考えがなかったので、みんな途惑った。自分たちが正しく生きていれば、平和は自然にやってくるものと信じていたしね」
「もし、殺しにくる相手がいたら、逃れるためには相手を殺すか力でねじ伏せるしかない。そうしなければ、いくら自分が品行方正であって正義感にあふれていても、私情に関係なく相手は襲ってくる。日ノ元郷の猫族は、考えを改めなければならないな」
無気力で生きてきて、疲れてしまった自分だ。
こんなことは、恥ずかしくて言える身ではなかった。しかし、口からでた。
三階のベランダからは、庭の芝に点々と転がる死体が見えた。
サビ猫たちが、味方同士で殺しあったのだ。
猫の騒ぎにおどろき、人間が姿を見せた。
しかし、『なんだ、猫の勢力争いか』とすぐに引っこんだ。
異国人が多く住むここでは、野良猫の喧嘩など日常茶飯事なのか。
それらの有様をすこし離れた石の台の上で、鼻黒のじじいが見張っていた。
石の台は、団地の街区と棟の番号を表す標識になっている。
「おれをやっつけるため、いよいよ本気になっているようだけど、あいつは何者なんだ」
茶トラは、三毛猫の銀次郎といっしょにならび、段ボールの箱から首をのばした。
「あいつはエサバーにいた鼻黒のじじいだ。びっくりしてんだよ。殺戮隊とやりあい、やっつけたも同然の活躍だったからな」
3
実はびっくりしているのは、三毛猫の銀次郎も同じだった。
日常の戦いのごとく、猫が猫を殺すのだ。
人が人を殺すのと同じである。
そのために、武器を持った殺し専門の殺戮隊まで組織しているのだ。
なんてことだと、ぼんやりしかけた。
だが、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「実はあいつは、日ノ元団地生まれのサビ猫だ。ここの三番目のボスだったけど、鬼花郷からやってくるサビ猫の罠にはまって酒と女に溺れ、みだらな生活で腰の毛も抜け、いつの間にかあんなになってしまった。将来は日ノ元郷に新設する全エサバーの支配人にしてやると約束されたという噂で、すっかりその気になっている」
「三番目のボスということは、一番と二番がいるってことだよな。一番と二番はどうしたの?」
「そこの国道16号で干乾びてた。他にもやられた奴があちこちいるようだけど、みんないろいろで、嚙み殺されたり、刺殺されたり、毒殺だったり、首吊り自殺に見せかけられたりで、日ノ元はいつしか闇だらけになってしまった。外からくるサビ猫たちが怪しいと疑問を投げかける者がいたけど、疑いを抱くそいつもどこかに消えたり、国道で干乾びたりしていた。日ノ元族は見えない恐怖を感じ、見ざる聞かざる言わざるで、各街区の寄合会をはじめ、あらゆる組織が機能しなくなってね」
バスで駅から家に帰るとき、銀次郎は団地のちかくの国道で、ぺしゃんこになった猫を何匹も見た。
やけに轢かれているけど、こんな所までのこのこでてくるんじゃないよ、ここはびゅんびゅん車がとおっている国道だよ、とうれえた。
人のときは分からなかった。
しかし、日ノ元の猫の世界では、大変ななにかが起こっていたのだ。
「なあ、茶トラさん、ヨボジイというのはどんなやつなんだ?」
「ヨボジイ? 知らないね」
あっさり首をふった。
鼻黒はヨボジイの名を聞いて興奮したようだが、茶トラは無反応だった。
銀次郎と茶トラが話し合っていると、騒ぎのおさまった庭に一匹のサビ猫が姿をあらわした。
「あ、あいつ、こっちを見てるぞ」
その猫が、三階の棚の上のダンボール箱から首をだした三毛と茶トラに、きりっとした視線をむけた。
あわてて首をひっこめようとしたが、もう遅かった。
そのサビ猫は腰を落とし、四本の足を踏ん張り、空にむかって叫んだ。
「ぎやおう、ぎやおぎゃお~」
時ならぬ猫の叫び声が、団地の庭に響きわたった。
すると味方同士の争いを終え、どこかで待機していたらしい殺戮隊のサビ猫がいっせいに飛びだしてきた。
先頭の何匹かが、口元を光らせている。
「見つかった。逃げろ」
茶トラと銀次郎は、段ボールの箱から飛びだした。
いち早く下におりようと、ベランダの手摺にぶらさがろうとした。
その勢いでダンボールの箱が棚から落ち、ベランダの花植えの植木鉢が、がしゃがしゃとひっくり返えった。
物音におどろき、アイロンを当てていたその家の奥さんがガラス戸を開けた。
そして、ベランダの手摺に吊りさがる二匹の猫を見つけた。
奥さんの足もとからは、元エサバーのホステスだった美人のサビ猫も顔をのぞかせた。
「三毛猫と茶トラの日ノ元の猫、ここにいるよー」
美人のサビ猫が、偵察猫の雄叫びに応呼した。
ベランダの柵から眼下に目をやると、何匹ものサビ猫が集まっていた。
「やつら、もう一階の庭先にきてやがる。やばい」
銀次郎はベランダの鉄柵にぶら下がり、からだを揺らしていた。
鉄柵にぶらさがりながら、おばさんとサビ猫が顔をだすガラス戸の奥をうかがった。
「家のなかに飛びこもう。裏の窓から下の家の出窓におりられるぞ」
振り子の態勢で、銀次郎が提案する。
「いくぞ」
「よし」
二匹で声をあわせ、さらに大きくからだをふった。
ガラス戸を開け、一人と一匹が顔をだしている。
その隙間に銀次郎と茶トラの二匹が、鉄柵から飛んだ。
思わぬ日ノ元の野良猫の攻勢に、一人と一匹は身をのけぞらせた。
高く跳んだ茶トラは、化粧の濃いおばさんの頬に爪を立てた。
低く飛んだ銀次郎は、下からのぞくサビ猫の顔面に頭突きを食らわせた。
部屋に飛びこんだ二匹は、裏の出窓のベランダを目指し、奥へ走った。
奥さんが掛けていたアイロンは、男物のズボンだった。
それを踏みちらし、裏窓につうじる玄関前の廊下にでた。
するとそこに、一人の男がパンツ一枚でひっくりかえっていた。
その家の亭主のようだった。
数本の酒の瓶が玄関に転がっている。
そのうちの一本が、ドアにはさまっていた。
「玄関から外にでられるぞ」
茶トラが、扉にはさまれた酒瓶を跳びこえた。
遅れて銀次郎もあとを追う。
つづら折りの階段を、茶トラが一気に跳ぶ。
二階、一階と曲がり角のある各階を二回のジャンプでおりきる。
「ぎゃあ」
先に庭におりた茶トラが、鋭い悲鳴をあげた。
4
そこには事態にそなえたサビ猫が、刃物をかまえて待っていた。
空中を飛び、前足をそろえて着陸した茶トラは、刃物を横に払われた。
腕から下の前足を切り取られた。
悲鳴をあげ、のめって転げる。
後ろ足で立ったところを、また刃物を払われた。
手足を奪われて腹這ったとき、尻尾も切り落とされた。
茶トラは、楕円形の肉のかたまりとなった。
わめいて地面をローリングした。
この残酷な待ち伏せを、物陰にひそんでいた日ノ元の猫たちが目撃していた。
しかし、誰も助けようとはしなかった。
蒼ざめ、ただ震えていた。
三毛猫の銀次郎は、エサバー出身の女に頭突きを食らわせたおかげで体勢がくずれた。
だから、茶トラよりも一足遅れた。
銀次郎は、茶トラの叫び声を聞いて事態をさっした。
銀次郎は、下の芝生に陣取る殺戮隊の背後に跳んだ。
着地と同時に、後ろから一匹の首筋に噛みついた。
するとそのサビ猫は、くわえた刃物を口からこぼした。
銀次郎は、刃物を口で拾った。
明らかに、殺傷のために用意されたものだった。
刃先が鋭く磨がかれていた。
「いやあ」
銀次郎は小さく叫んだ。
まずはその刃物の持ち主の下半身を、一気に払った。
四本の足を一瞬にして失ったその猫は、どすんと胴体で地面に這った。
おどろいて銀次郎を見あげる。
「おれは昔、剣道やってたんだ」
今さらのごとく、銀次郎は思いだした。
銀次郎は顎と腰に力をこめ、左右に首をふった。
切れ味のするどい刃物だった。
肩口を傷つけるつもりだったが、右と左にいた二頭の首をぽろっと落した。
「ぎゃおー」
叫んだのは、三毛猫の銀次郎のほうだった。
あまりにもあっさり首が落ちたからだ。
だが、サビ猫たちはそれを銀次郎の雄叫びととらえた。
こうなったらついでに、みんなやっつけてやる、見てろ、と銀次郎は殺戮隊のなかに飛びこんだ。
「いあやっ、おうっ、ええいっ」
懐かしい剣戟だった。
茶トラを残酷に切り刻んだサビ猫たちを、次々に斬り倒した。
情けは無用だった。
おれは玉のついた三毛猫だ、どうだ、と名乗りたくなるほど高揚した。
刃物を持ったサビ猫たちは、ただ首を左右に動かしているだけだ。
銀次郎から見れば、子供のチャンバラごっこだ。
茶トラがやられたように、手あたりしだい相手の手足、尻尾を斬り落とした。
斬られ、転がって悲鳴をあげる仲間に、鬼花郷の殺戮隊は震えあがった。
「に、にげろ」
あわてて逃げだした。
危機を感じたら、稲妻よりも素早く行動する。
あとに、首と手足のない肉の塊がいくつも転がった。
とりあえずは三街区へいこう、自分の部屋にもどろう。
銀次郎も、芝の庭を駆けだした。
早く八田刑事やうららに会い、報告したかった。
8章了
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