転生貴族の異世界無双生活

guju

文字の大きさ
83 / 136

第三章 国士騎士

しおりを挟む
「君達の入隊を、俺達は心より歓迎する」

国士騎士の特別訓練所を与えられたアルト達は、早々に送られてきた優秀であると思われる兵士達を全て採用し、今訓練所に集合させていた。

今その前で話をしているのは、国士騎士副長であるハヴェだ。

「先ずは、国士騎士隊長からの挨拶だ」

指揮台から降りてきたハヴェから、拡声器を受け取った。

拡声器とは、転移魔法陣を組み込み魔力を流しながら話す事で、対となる魔法陣が組み込まれた物から声が聞こえるというものだ。
複数の転移魔法陣を組み込めば、より多くの物と繋がり、広範囲に声が聞こえるというとても高価なものである。

今手元にあるの、8この魔法陣が組み込まれた最上級のものである。
現状、存在する最多数の同時接続が12である。

段差が三段ほどある比較的大きな指揮台を登り、皆の前に立つとフードを外した。

「私が、国士騎士隊の隊長アルト・シルバーだ」

クロードとは名乗れない。以前見た本の著者がシルバーだったので、それをそのまま使ってしまった。

「ま、まだガキじゃないか……」
「あいつ、俺の息子くらいの年齢だぞ」

アルトを見て、その若さから動揺の声が上がる。
勿論、小声ではあるがアルトは聞き逃さなかった。

「私の年齢がそんなに気になるのか? 」

聞こえていたとは思いもしなかったのか、少しうろたえるが、そのうちの一人が声を上げた。

「あぁ、気になるね。力だけしかない経験もろくにないガキの下に着くなんて真っ平御免だ」

空気が凍る。
誰もがその男を見て、何を言っているのだと言う表情をしている。

だがそんなことはお構い無しに、アルトはその沈黙を破った。

「そうか、ならば去るといい。折角のチャンスをその愚かな目と、クソみたいなプライドで投げ出せばいい。こちらとしても、そんな無能は必要ない」

目には見えなくとも誰もが感じた。
空気に亀裂が入り、それが粉々に砕け散る様を。

「な、ふざけんな! クソが……いい気になってんじゃねぇぞ! 」

男は、腰から短杖を取り出すと略詠唱でBランク魔法を発動する。

「燃えろ、焼き尽くせ、火炎弾」

数発の火の玉は、高速でアルト目がけて放たれる。

だが、それは直前で当たること無くカッ消された。

アルトの意を汲み取り、ローブとして纏っていたキウンが瞬時にその炎を切り裂いたのだ。

「Bランク魔法を略詠唱……なかなか優秀なものなのに勿体ないな。去れ、邪魔だ」
「ふ、ふざけるな……」
「しつこい奴だ、それに頭も悪い。ハヴェ、つまみだせ」

「了解」

横に控えていたハヴェは、ゆっくりと男に近づく。

「ち、近寄るな! 殺すぞ! 」

男は、腰に携えていた短剣を抜き放ち、迫り来るハヴェに剣先を向ける。

「魔法剣士か……悪くは無い。だが……」

瞬時に剣を抜いたハヴェは、目にも止まらぬ速さで男の短剣を真っ二つに折ってしまった。

この場にいるもので、ハヴェの剣筋を捕えられたのはアルト以外居ないだろう。

「これ以上居座るなら力技に出るけど? 」
「なんだよ、こんな所抜けてやる! 」

折れた短剣を投げ捨てると、ブツブツと何かを言いながらその場をあとにした。

「他に、文句があるやつは出ていけ」

ハヴェに集まっていた視線の全ては、一声で全てアルトに向けられた。

それから数秒沈黙が続く。だが、誰一人としてその場から動こうとするものはいなかった。

アルトの力を知ったからなのだろうか、魔法を切り裂くという常識破りな力の前で、自らの自身は削がれ、力あるアルトに有望の目を向けている。

騎士になるくらいだ、それぞれ守りたいものもあるのだろう。やりたいこともあるのだろう。だが、そのどちらにも自らの強さは必要だと。

もしかすれば、アルトのもとに居れば力が手に入るかもしれない。
権力が手に入るかもしれない。
大事なものを守れるのかもしれない。
やりたいことが出来るかもしれない。

そのような期待が、彼の若さ故の不安や不満を取り除いたのだろうか。

まぁ、一人を見せしめという形で容赦を見せず、追い出すことでこうはなりたくないと思うものが多いだけなのかもしれないが……。

「では、明日から強化合宿を始める。今日のうちに必要なものを揃えておけ。騎士の端くれならそれくらいは分かるだろう」

「「「はい! 」」

この後、施設の紹介などがハヴェによって行われ、終わる頃には日が暮れていた。

その後、長々と話を聞いて疲れた彼らは、明日の用意を始めた。
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...