73 / 136
大進行㉑
しおりを挟む
「氷結は終焉 せめて華麗に砕け散れ 宙を舞う妖精の如く」
''氷結粉砕''
魔法ランクZランク魔法
冷気が辺りに漂うと、一瞬にしてその一帯が氷によって固められる。
それは、地に足をつけていた魔物に関わらず、空を飛んでいた劣等竜も氷結し、地に落ちる。
「粉砕」
アルトのその一声で、その全ての氷が米粒程度の大きさに砕け散る。
その様子は、まるで空から宝石が降っているかのごとく美しいものである。
だが、魔物は留まることを知らない。
また奥から、たくさんの魔物が湧いてでる。
その魔物を一体、また一体と切り裂いていくアルトであるが、その手は不意に止まった。
「反応が……消えた」
なんの反応だろうか。そのアルトの言葉の意味が分かるものはおそらく居ないだろう。
この反応は、なんなのだろう。答えは眷属のものである。
アルトは、彼らを召喚したあの日、自らのスキルである''眷属化''を行った。
これは、念話、主人が眷属生死を把握する、主人が眷属に位置を知らせることが出来る。
などといった事を可能とさせるスキルだ。
それを使用していたアルトは、常にキウン、ネメス、スーリヤの生存確認は無意識のうちに行っていた。
無意識に、キウンの魔力を感知している。
だが、つい先程そのひとつが消えてしまったのだ。
それはつまりどういうことか
「キウンが……死んだ? 」
こういう事なのだ。
アルトは考える。
本当にキウンが死んだのかと。
何らかのバグが発生し、キウンの魔力が一切感知できなくなった可能性。
システムの不具合により、誤情報が送られてきた可能性。
ありとあらゆる可能性を考えるが、その可能性を、自ら潰してしまう。どれもが''ありえない''の一言で片付けられるようなものばかりであるのだ。
(と、取り敢えずキウンの元へ)
アルトは、無詠唱で転移魔法を発動させる。
指定座標は、つい先程までキウンの魔力があった場所。
ーーーー
アルトは、その光景を見て唖然としていた。
元々、木々がそびえ立ち草が生い茂っていたその場所には隕石でも降ってきたのかと問いたくなるような大きなクレーターがひとつと、その一帯の緑は跡形もなく消え去っていた。
そのクレーターの中心にキウンは倒れている。
「キウン! 」
アルトは、声を上げてキウンに近寄る。
身体を何度も揺すり、名前を何度も叫ぶ。
だが、その声は届く事は無い。キウンは一向に目を開く気配はなかった。
「キウン……どうして……」
アルトは目に涙をうかべる。
また1つ、大切なものを失ってしまったと。
「いつも、失って後悔する……。あの時と同じように」
キウンの前で膝をつき、数分がたった頃だろう。
突如として、目の前に明かりが現れた。
そこから、真っ白な衣服を纏った1人の女性が現れる。
アルトは、このモノの正体を知っている。
何度かあったことがある。
「貴方が、アルト様ですね」
「何の用だ、神が」
それは、神であった。彼らが持つ特有の力。十神ほどではないものの、彼女からも同じものを感じとれる。
「私は生命神様の眷属、下級神に属するイヴナ。亜神の導き手よ」
「亜神の導き手? どういう意味だ」
「そのままの意味よ。亜神は死すれば代替わりか、神への高格するの」
代替わりとは、自らの命が絶えた時その魂を軸に一定の記憶をリセットし、また1から精霊王として活動するというものだ。
「キウンは……キウンはどうなる? 」
「彼はおそらく代替わりでしょうね。前回もそうしたのだから」
「そうか……」
アルトは、目を瞑り顔を沈める。
キウンが生き返ると言われればそうなのだろうが、記憶も何も無い。
そんなものは実質別人と同じだとアルトは考えているのだ。
「……はぁ」
突然イヴナはため息をつく。
「どう……した? 」
「いま、精霊王から言われました」
「キウンと話せるのか! 」
「えぇ、私だけですが。精霊王は貴方様を見ていますよ」
それを聞き、アルトは辺りを見回す。
キウンが自分には見えないだろうと分かってはいるものの、もしかしたら見えるかもしれないと淡い期待を抱いているのだ。
「精霊王は、代替わりも高格も嫌だと……」
「そ、それってどうなる? 」
「完全に消滅するでしょうね」
「そんな……キウン」
イヴナはまた1つ、ため息をついた。
「提案があります。 と、言うより絶対神様からお言葉を授かりました。」
「あの爺さんから……なんだ? 」
コホン……と、小さく咳をし、声を整えて息を吐いてから口を開いた。
「精霊王が、アルトを主と定めその意思が硬い場合、神器の儀を行え……との事です」
神器の儀。それは、亜神が主を定め忠誠を誓った場合のみ行えるものである。
死んだ亜神を神器とし、主の魔力と血を注ぐことでこの世界に2つと無い神の武具として永久に主の傍に使える。
そのようなものである。
「キウンが、キウンがそれでいいのならば俺は喜んでそれを望もう! 」
''氷結粉砕''
魔法ランクZランク魔法
冷気が辺りに漂うと、一瞬にしてその一帯が氷によって固められる。
それは、地に足をつけていた魔物に関わらず、空を飛んでいた劣等竜も氷結し、地に落ちる。
「粉砕」
アルトのその一声で、その全ての氷が米粒程度の大きさに砕け散る。
その様子は、まるで空から宝石が降っているかのごとく美しいものである。
だが、魔物は留まることを知らない。
また奥から、たくさんの魔物が湧いてでる。
その魔物を一体、また一体と切り裂いていくアルトであるが、その手は不意に止まった。
「反応が……消えた」
なんの反応だろうか。そのアルトの言葉の意味が分かるものはおそらく居ないだろう。
この反応は、なんなのだろう。答えは眷属のものである。
アルトは、彼らを召喚したあの日、自らのスキルである''眷属化''を行った。
これは、念話、主人が眷属生死を把握する、主人が眷属に位置を知らせることが出来る。
などといった事を可能とさせるスキルだ。
それを使用していたアルトは、常にキウン、ネメス、スーリヤの生存確認は無意識のうちに行っていた。
無意識に、キウンの魔力を感知している。
だが、つい先程そのひとつが消えてしまったのだ。
それはつまりどういうことか
「キウンが……死んだ? 」
こういう事なのだ。
アルトは考える。
本当にキウンが死んだのかと。
何らかのバグが発生し、キウンの魔力が一切感知できなくなった可能性。
システムの不具合により、誤情報が送られてきた可能性。
ありとあらゆる可能性を考えるが、その可能性を、自ら潰してしまう。どれもが''ありえない''の一言で片付けられるようなものばかりであるのだ。
(と、取り敢えずキウンの元へ)
アルトは、無詠唱で転移魔法を発動させる。
指定座標は、つい先程までキウンの魔力があった場所。
ーーーー
アルトは、その光景を見て唖然としていた。
元々、木々がそびえ立ち草が生い茂っていたその場所には隕石でも降ってきたのかと問いたくなるような大きなクレーターがひとつと、その一帯の緑は跡形もなく消え去っていた。
そのクレーターの中心にキウンは倒れている。
「キウン! 」
アルトは、声を上げてキウンに近寄る。
身体を何度も揺すり、名前を何度も叫ぶ。
だが、その声は届く事は無い。キウンは一向に目を開く気配はなかった。
「キウン……どうして……」
アルトは目に涙をうかべる。
また1つ、大切なものを失ってしまったと。
「いつも、失って後悔する……。あの時と同じように」
キウンの前で膝をつき、数分がたった頃だろう。
突如として、目の前に明かりが現れた。
そこから、真っ白な衣服を纏った1人の女性が現れる。
アルトは、このモノの正体を知っている。
何度かあったことがある。
「貴方が、アルト様ですね」
「何の用だ、神が」
それは、神であった。彼らが持つ特有の力。十神ほどではないものの、彼女からも同じものを感じとれる。
「私は生命神様の眷属、下級神に属するイヴナ。亜神の導き手よ」
「亜神の導き手? どういう意味だ」
「そのままの意味よ。亜神は死すれば代替わりか、神への高格するの」
代替わりとは、自らの命が絶えた時その魂を軸に一定の記憶をリセットし、また1から精霊王として活動するというものだ。
「キウンは……キウンはどうなる? 」
「彼はおそらく代替わりでしょうね。前回もそうしたのだから」
「そうか……」
アルトは、目を瞑り顔を沈める。
キウンが生き返ると言われればそうなのだろうが、記憶も何も無い。
そんなものは実質別人と同じだとアルトは考えているのだ。
「……はぁ」
突然イヴナはため息をつく。
「どう……した? 」
「いま、精霊王から言われました」
「キウンと話せるのか! 」
「えぇ、私だけですが。精霊王は貴方様を見ていますよ」
それを聞き、アルトは辺りを見回す。
キウンが自分には見えないだろうと分かってはいるものの、もしかしたら見えるかもしれないと淡い期待を抱いているのだ。
「精霊王は、代替わりも高格も嫌だと……」
「そ、それってどうなる? 」
「完全に消滅するでしょうね」
「そんな……キウン」
イヴナはまた1つ、ため息をついた。
「提案があります。 と、言うより絶対神様からお言葉を授かりました。」
「あの爺さんから……なんだ? 」
コホン……と、小さく咳をし、声を整えて息を吐いてから口を開いた。
「精霊王が、アルトを主と定めその意思が硬い場合、神器の儀を行え……との事です」
神器の儀。それは、亜神が主を定め忠誠を誓った場合のみ行えるものである。
死んだ亜神を神器とし、主の魔力と血を注ぐことでこの世界に2つと無い神の武具として永久に主の傍に使える。
そのようなものである。
「キウンが、キウンがそれでいいのならば俺は喜んでそれを望もう! 」
22
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜
加瀬 一葉
ファンタジー
王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。
実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?
過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる