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第一章 幼少期最終話
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幼少期 最終話
フルム魔王国の兵士とサンドラがこちらに向かって走ってくる。
ネメスたちがアルトの元へと行った事を知ったサンドラがフルム魔王国の兵士に伝えたようだ
「お待たせしましたアルト様」
息を切らした魔人は豪華な正装を着ていた。
それとは対象にサンドラは息を乱していない
彼はこの国の宰相だ。アルト様についてこの戦いの前、書状を渡した時に居た事をネメスは思い出す
「主様は眠っておられる。出来ればでいいのですが、部屋を貸して頂けませんか?」
「いいでしょう。王宮に一室御用意します。ですが……これだけの人数となると全員の受け入れは少し……」
宰相は、ネメスの後ろに控えている大軍に目線を向ける
「わかりました」
結局、ネメスとスーリヤとキウンはその場に残り、それ以外の軍はそれぞれの国(悪魔界、天界、精霊国)に転移で戻っていった。
3人は宰相に連れられ、大きな宮殿の中を暫く歩いた。
「こちらです」
宰相に案内された部屋には、大きなベッドが1つと、椅子が3つ、小さなテーブルが1つ置いてある部屋だった。
恐らくはネメスたちがこの場に残ると判断し、椅子の数を増やしたのだろう。
「では、失礼致します。ごゆるりとどうぞ」
「ありがとうございます」
部屋を出て行く宰相にネメスは軽く頭を下げ礼の言葉を言う
宰相が部屋から出ていくと、それぞれ椅子に座り、キウンはいつも通り小さくなり、アルトのベッドの上に乗った。
「今から、アルト様が目を覚ました時の為に、今回の戦いの被害や結果をまとめておきましょう」
「賛成ですわ」
「我も異論はない」
3人が了承したところでネメスが「では」と言い、話し合いが始まった
大軍の損失は約150名の死者で負傷者はスーリヤによって完治され、ほぼ損害は無いと判断された
それほどまでに圧倒的な戦いだった。
そもそも、悪魔や天使、精霊は下級の物でも一般の兵士よりは強い。それの殆ど中級や上級のみで構成された軍に叶うはずは無い。
配置しておいた部下のおかげで領地等に被害は一切無く、そもそも誰も攻めてきた等は知らないであろう。
そして、フィダーの封印場所は、ネメスとスーリヤにより今のアルトですら傷が付けられない強度の結界が張られ、石で囲い立ち入り禁止となった
そして、このことがきっかけに疎遠であった精霊、天使、悪魔は共に戦ううちにそれぞれが助け助けられ、友好関係を築く第1歩となった
・
・
・
アルトが目を覚ましたのは、それから2日後だった
「うぅ……んぅ……」
窓から差し込む太陽の光が眩しく、目が霞む
「主よ!」
俺の声を聞いて、部屋に居たキウンは起き上がる
「……キウンか」
アルトは回らない頭を動かす。
あるとの右手は、無意識に貫かれた腹部に添えられていた。
「傷……」
「それならスーリヤが癒しておったからもう安心だ」
キウンは、俺の頬に顔を擦り付ける。俺がキウンの頭を撫でると、「グルゥゥ」と声を上げ、嬉しそうに目を細める
その時、バタン! と音を立てて、ドアが勢いよく開く。
「主様!」
正体はネメスだ。
「あぁ、ネメス。心配かけて悪かったな」
俺は少し体を起こし、壁にもたれて座る。
体の痛みや、傷などはないがあれ程の大怪我だ。治癒魔法で癒される側も相当の体力を奪われる。ましてや封印魔法のあとにかけられた治癒魔法だ。
体のだるさは尋常じゃない
「ウッ」
俺は突然の頭痛に頭を抑え前に屈む
「アルト様、ご無理をなさらず横になってください」
ネメスは俺を支え、ゆっくりと体を倒す
「貴方様はご無理をし過ぎです。もっと自分の身を大切にしてください」
「だい……丈夫だ」
酷くなる頭痛に意識を持っていかれた
その後、直ぐに規則正しい寝息が聞こえてきた事にネメスとキウンは安堵のため息をこぼした
「ご主人様!」
それと同時にスーリヤが部屋に入ってきた
「主様は眠っています。静かにしてくださいスーリヤ」
ネメスは小さな声で口に人さし指を当てて言う
「あら、ごめんなさい。それより様態は?」
スーリヤはアルトに近ずき、顔を覗き込んで言う
「先程まで起きていたのですが、頭痛なのでしょう、頭を抱えて意識を失いました」
「恐らく貧血でしょうね。あれ程の血を流されたのですから……まぁ、寝ていれば良くなるはずです」
スーリヤは近くにあった椅子に腰掛けてアルトに布団をかぶせる
布団の上にいたキウンはスーリヤの膝の上へと移動している
そして翌日の夕方、アルト一行はフルム魔王国を後にした……
<hr>
幼少期完結です。ここまで見てくださった皆様ありがとうございます。今後ともよろしくです!
さて、次回は第二章です。
戦いを終えたアルトはどうするのか……
フィダー・カントの最後の細工とは何なのか……
フォロー、高評価、コメントしてくれると嬉しいです。
フルム魔王国の兵士とサンドラがこちらに向かって走ってくる。
ネメスたちがアルトの元へと行った事を知ったサンドラがフルム魔王国の兵士に伝えたようだ
「お待たせしましたアルト様」
息を切らした魔人は豪華な正装を着ていた。
それとは対象にサンドラは息を乱していない
彼はこの国の宰相だ。アルト様についてこの戦いの前、書状を渡した時に居た事をネメスは思い出す
「主様は眠っておられる。出来ればでいいのですが、部屋を貸して頂けませんか?」
「いいでしょう。王宮に一室御用意します。ですが……これだけの人数となると全員の受け入れは少し……」
宰相は、ネメスの後ろに控えている大軍に目線を向ける
「わかりました」
結局、ネメスとスーリヤとキウンはその場に残り、それ以外の軍はそれぞれの国(悪魔界、天界、精霊国)に転移で戻っていった。
3人は宰相に連れられ、大きな宮殿の中を暫く歩いた。
「こちらです」
宰相に案内された部屋には、大きなベッドが1つと、椅子が3つ、小さなテーブルが1つ置いてある部屋だった。
恐らくはネメスたちがこの場に残ると判断し、椅子の数を増やしたのだろう。
「では、失礼致します。ごゆるりとどうぞ」
「ありがとうございます」
部屋を出て行く宰相にネメスは軽く頭を下げ礼の言葉を言う
宰相が部屋から出ていくと、それぞれ椅子に座り、キウンはいつも通り小さくなり、アルトのベッドの上に乗った。
「今から、アルト様が目を覚ました時の為に、今回の戦いの被害や結果をまとめておきましょう」
「賛成ですわ」
「我も異論はない」
3人が了承したところでネメスが「では」と言い、話し合いが始まった
大軍の損失は約150名の死者で負傷者はスーリヤによって完治され、ほぼ損害は無いと判断された
それほどまでに圧倒的な戦いだった。
そもそも、悪魔や天使、精霊は下級の物でも一般の兵士よりは強い。それの殆ど中級や上級のみで構成された軍に叶うはずは無い。
配置しておいた部下のおかげで領地等に被害は一切無く、そもそも誰も攻めてきた等は知らないであろう。
そして、フィダーの封印場所は、ネメスとスーリヤにより今のアルトですら傷が付けられない強度の結界が張られ、石で囲い立ち入り禁止となった
そして、このことがきっかけに疎遠であった精霊、天使、悪魔は共に戦ううちにそれぞれが助け助けられ、友好関係を築く第1歩となった
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アルトが目を覚ましたのは、それから2日後だった
「うぅ……んぅ……」
窓から差し込む太陽の光が眩しく、目が霞む
「主よ!」
俺の声を聞いて、部屋に居たキウンは起き上がる
「……キウンか」
アルトは回らない頭を動かす。
あるとの右手は、無意識に貫かれた腹部に添えられていた。
「傷……」
「それならスーリヤが癒しておったからもう安心だ」
キウンは、俺の頬に顔を擦り付ける。俺がキウンの頭を撫でると、「グルゥゥ」と声を上げ、嬉しそうに目を細める
その時、バタン! と音を立てて、ドアが勢いよく開く。
「主様!」
正体はネメスだ。
「あぁ、ネメス。心配かけて悪かったな」
俺は少し体を起こし、壁にもたれて座る。
体の痛みや、傷などはないがあれ程の大怪我だ。治癒魔法で癒される側も相当の体力を奪われる。ましてや封印魔法のあとにかけられた治癒魔法だ。
体のだるさは尋常じゃない
「ウッ」
俺は突然の頭痛に頭を抑え前に屈む
「アルト様、ご無理をなさらず横になってください」
ネメスは俺を支え、ゆっくりと体を倒す
「貴方様はご無理をし過ぎです。もっと自分の身を大切にしてください」
「だい……丈夫だ」
酷くなる頭痛に意識を持っていかれた
その後、直ぐに規則正しい寝息が聞こえてきた事にネメスとキウンは安堵のため息をこぼした
「ご主人様!」
それと同時にスーリヤが部屋に入ってきた
「主様は眠っています。静かにしてくださいスーリヤ」
ネメスは小さな声で口に人さし指を当てて言う
「あら、ごめんなさい。それより様態は?」
スーリヤはアルトに近ずき、顔を覗き込んで言う
「先程まで起きていたのですが、頭痛なのでしょう、頭を抱えて意識を失いました」
「恐らく貧血でしょうね。あれ程の血を流されたのですから……まぁ、寝ていれば良くなるはずです」
スーリヤは近くにあった椅子に腰掛けてアルトに布団をかぶせる
布団の上にいたキウンはスーリヤの膝の上へと移動している
そして翌日の夕方、アルト一行はフルム魔王国を後にした……
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幼少期完結です。ここまで見てくださった皆様ありがとうございます。今後ともよろしくです!
さて、次回は第二章です。
戦いを終えたアルトはどうするのか……
フィダー・カントの最後の細工とは何なのか……
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