転生貴族の異世界無双生活

guju

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幼少期⑰

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部屋に戻るアルト。
ベッドには、冒険者として活動していた時に身にまとっていたマスクと服が。
まるで、そこに人が寝転がっているかのように、静かに置かれていた。

「はぁ……」

と、アルト。大きな溜息をひとつついて、呟く。

「まさかこんなにすぐに正体がバレる、というかバラさなきゃならない状況になるとはね……」

たったの3回―この服を着用した回数だ。

まさか、たかが魔人ごときの討伐で、王都に出向く事になるなんて思わなかった。

と、実にこの世界の住人としては不適合な思考を巡らせる。

マスクの三日月を光らせる、一筋の太陽の光。まるで、月光のようにうつくしい。

ふと、考えるアルト。

「やっと手に入った家族……俺に恐れて居なくならないだろうか?」

小さな声で、呟く。

向こうの世界では、浮気をして肉体関係を息子にまで迫ろうとした母と、浮気の一件以来ほとんど会話をして居ない父だったからな。

誰かに、答えを求めている訳では無い。
自問自答……いや、自らにも答えは求めていないのだから自問だ。

だが……。

「アルト様、我は貴方に何処までもついて行きますよ。」

アルトの足に、自らの顔を猫のように擦りつけながら言うキウン。

「ありがと」

俺はキウンの頭を撫で、マスクと服を着用する。

父様の書斎に自らの力……それも''冒険者ミナト''としての報告を目的としているのだ。
その時に着用していたものを来て行った方がいいだろう。

――コンコン

20分程は経過しただろうか―酷く、長く感じる時間に……。

ミルが俺を呼びに来た。

「アルト様、旦那様がお呼びです。皆様、既に揃ってらっしゃいます。」
「うん、すぐ行く。先に行っててくれない? 」
「あ……はい。了解致しました」

ミルはいつもと違い「先に行け」と言った俺の返事に少し疑問を抱きながらも、それに従い先に書斎に行った。

ミルが行ったのを確認すると、気配を消して部屋を出て書斎へ向かう。

「おい、アルトはまだか?」
「はい、私に先に行けと……」
「そうか、ならば時期に来るであろう」

心配そうな顔をして。

「一体アルトはどうしたのでしょうね?」

メリスがティーカップを机に置きながら、言った。

それとは、対照的に。
心配などないと、自らの心は変わらないとファル。

「何があってもアルトは俺の弟ですけどね」
「そうだな、アルトは俺たちの子だ」

肯定するグラン。余計な心配は必要ないだろうと、メリスに視線を送る。

それを察したのかメリス。

「そうね、余計な心配はいらないわね」

笑顔で答え、それにセビスとミルも頷く。

そんな会話が行われてるとはいざ知らず、書斎の扉の前で気配を元に戻し、ノックする。

――コンコン

扉を2度叩き……。

「アルトです」
「はいれ」

グランの声が聞こえる。

扉をあけて書斎に入ると、みんな呆気にとられた顔をしている。

「だ、誰だ!」

グランは、その見慣れない服装に思わず声が大きくなる。
名乗ったなでさえ、本当に本人なのか疑ってしまうくらいには。

それもそうだろう。
完全に顔を隠して、全く知らない服とマスクを着けているのだから。

「お、俺ですよ。アルトです!」

俺はマスクを取る。

「ア、アルト!」

驚いた顔をするグランとファル。
それとは打って変わって、中身がアルト本人だと、信じて動じないメリスとセビス、ミル。

「アルト、何それ?」

母様が優しい声で聞いてくる。

「これは正体を隠すために作ったマスクと服です。」
「なんでそんなものを?」
「俺だとバレないように」

母様は納得したように頷き、自身の隣の椅子をポンポンと手で叩く。

「こっちおいで」

俺は母様の隣に座る。

「で、そのマスクと服装は置いといてだ」

目の前に座っている父様が話を持ち出してきた。

「色々説明してくれないか?」
「わかりました。では、何処から……」

少し、怒っているかのように、冷たい強い口調でグラン。

「お前の隠していること全てだ」
「わかりました」

俺は出された紅茶を一口飲んで話し始める

「まず、俺は前世の記憶を持っています」
「前世の記憶だと!」

驚く一同―特に、グランは声を荒らげた。

「はい、魔法のない、種族も人間だけの世界です。その世界で1度死んだんですけどね……どういう訳か生き返って」

「生き返っただと!? 」

前世の記憶保持=生き返った。
そういう認識では、無かったのだろうか。

父様、母様、兄様、セビスにミル。
全員がおどろいている。

「で、なんで隠していた?」
「それは……お前は子供じゃないとか言われるかと思って」


グランの反応は、アルトの予測を大きく外れる。

「ハッ! ハッハッハッ、そんな事だったのか」

大きな笑い。そして、決死の告白を……。

「そんな事とはなんですか!」
「アルト、私たちはそんな事で貴方をどうにかしようなんて思わないわよ」

母様が俺の頭を撫でながら優しく言う

「そうだぞ」

父様も兄様もみんなそうおもっているようだ。

「あ、ありがとう」

俺は俯いていた顔を上げてニコッと笑う。

「ステータス、見せてみろ」

「わかりました!」

<ステータスオープン>

アルト・フォン・クリード(5) 人族
MEN   
Level 359
HP error
MP∞

基本能力 EX++

魔法適正
火 水 風 土 闇 光 氷 雷 無(時 空間 次元 重力)

スキル
アイテムボックス 鑑定 超武神 超魔神  創生
破壊 眷属化 魔力強化(質) 魔力強化(量) 魔力削減 威圧(神) 絶対記憶 叡智 進化 隠蔽
体力回復

加護
十神の加護LV10

称号
神を超えし者 生きる神 真の超越者 受け入れられた転生者

「「「「「……」」」」」

沈黙が続く

「あのー」

俺は沈黙をかき消すため言葉を発する。

「アルト、なんだこれは!」

その声に反応したのはまだ呆気にとられている4人を除いて父様1りだけだった。





<hr>

最近更新頻度が低いですが見限らないでゆっくりと待ってやってください!

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