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閑話 中学生の狐月湊③
しおりを挟む時刻は7時30分。俺の家は学校から近い事もあってもう少しゆっくり出来る。
8時40分に予鈴がなるから、8時半に学校に着けばいい。家からは歩いて5分程度なのでまだ1時間ほどある。
2人とも制服に着替えてリビングのソファでテレビを見て居る。
「昨夜9時頃、東京足立区の双葉中学の付近で、女子高校生がストーカーされる事件が起きました。その女子高校生は無事で、外傷はなかったものの……」
テレビからニュースが流れいる。
「湊くん、これってうちの中学だよね」
「うん。物騒だな」
「あ、そうだ湊くん! まだライン交換してなかったでしょ。交換しない?」
少し暗い雰囲気なったのを変えるかのように明るい声で由理はいう
「あ、うん、勿論いいよ。」
ポケットから交換してフルフルでラインを交換する。
「ありがと! また連絡するね」
「いつでもどうぞ」
そんな会話をしながら時間を潰す。
それからしばらくして時間になったので家を出る。
ガチャ
鍵を閉めて外のに出る。ムワッとした熱気が襲ってきて、物凄く暑い
「暑いね、夏はやだよ」
「でもプールとか海とか色々あるじゃん! 私は意外と好きだよ、夏」
「ふーん、じゃあ今度海でも行こっか?」
「え、うん! 行く行く!」
とても嬉しそうにしている。
「ちょうど夏休みだし、他に誰か誘う?」
「う~ん、誰でもいいよ?」
「じゃあ、適当に何人か呼ぶわ」
「うん」(2人がいいとは言えないしね。)
暑い中、俺たちは学校へに着いた。
俺は2組、由理は3組で隣のクラス。
教室が隣なので一緒に教室まで行く。
「おう、湊! なんだ? その可愛い子、彼女か?」
「違うよ、友達」
「ふぅーん、まぁいいや! じゃあな」
そう言って5組の友達|倉田 龍斗(くらたりゅうと)は去った。
「友達なんだ」
「ん? 由理なんか言った?」
「な、何でもない! じゃあね! 私こっちだから」
走って教室へ入っていった。
彼女が教室へ入るのを見届けると俺も教室へ入る。
自分の席に座り荷物を鞄から出していると後ろから肩を組まれる
「湊さん、あの可愛い子は彼女ですかい?」
康太だ。その他に3人中がいいやつが居るが、今は彼だけだ。
「康太、何だよ朝から暑っ苦しい、夏だぞ」
「冷たいねぇ、あの子には優しくしてんの?」
「何勘違いしてるか知らんが、由理は彼女じゃない」
「由理って言うんだ、ならさ、俺に紹介……」
ドス!
「あらあら、私という彼女が居ながらなんですって?」
康太の彼女の穂乃果、俺の数少ない友達の1人にも当たる子だ
「いってぇ! 今本気でやったろ!」
ふんっ! とそっぽを向いている穂乃果をなだめる雪と隼人にすがりつく康太
ちなみに隼人と雪もカレカノの関係だ。
つまり、このグループの中で彼女が居ないのは俺だけ。
まぁ、いいんだけど
「でさ、さっきの子えっと……由理ちゃんとは本当はどういう関係なの?」
「だから何でもないよ」
「おやおや本当かなぁ?」
このやり取りの堂々巡りで疲れる。
それに、隼人や康太にならばともかく雪や穂乃果に「昨晩ヤりました」なんて言えるわけがない。
俺は康太に耳打ちで小声で言う
「穂乃果と雪のいねぇとこで言ってやるから隼人にもそう言っとけ」
「本当?」と言われたから「うん」と言うとフッと笑みをこぼしてを叩く
パンパン
「この話、もう終わろうぜ! 皆と答える気なさそうだし」
「そうね。」
「そうだね」
雪と穂乃果は納得しているようだが隼人は不服なようだ
そこに康太が隼人に耳打ちでさっきのことを伝える
「隼人、後で俺らには言ってくれるってよ」
「そうか、なら終わりだな」
とすぐに切り替え自分の席に戻って行く
俺はあいつらに真実を伝えるのを憂鬱に感じながらこれからの授業を受けるのだった。
そして時は昼休み、雪と穂乃果には理由をつけて別行動にしてもらったらしく……見事に2人だけで屋上に来やがった。
俺は少し雪たちが来て話さなくてもよくなる展開を思い描いてたのだが……
俺はまぁ仕方ないと割り切り、話す事にした。
「でさでさ、どう言う関係なの?」
「早速かよ」
「いいじゃんいいじゃん、俺も早く聴きたい!」
俺は仕方なく話し始めた。
「家に来たいと言われて誰も居なかったから呼んで、なんか、そーいう雰囲気になって、ヤった」
「「…………」」
「ほ、本当か?」
康太が驚いた顔で、まだ信じてないように聞いてくる。
「うん」
「で、付き合ってんの?」
今度は隼人が真剣な顔で聞く
「いや、付き合ってなよ。最初から付き合わないって言ってあるし」
「じゃあ、付き合ってないのにヤったって事か?」
「まぁ、そうなるな」
2人ともハァとため息をつく
「お前はそれで良いのか?」
「どういう事だ?」
「だから、彼女作らずにやる事やってフラフラするので良いのかって言ってんの」
「わかんない」
「俺、今朝みたいにちょっと怖いとこあるけど、穂乃果のこと好きだし今ちょー幸せだぜ!」
康太が笑顔で言う
「俺も、雪のこと好きだし楽しいよ」
隼人も同じらしい
そこまで言われると何か思う事がある。今までめんどくさかった女の子だが、由理は一緒にいて楽しかったし……
「俺も、彼女作ったほうがいい?」
「うん、その方が……」
「俺たちまで楽しめそう」
康太が黒い笑みを浮かべながら言う
「だな!」
隼人も黒い笑みだ。
この2人
完全に俺をイジるつもりでいる!
「っ! くそッ! 絶対彼女なんて作らねぇ!」
でも、と康太が続ける
「真剣な話、あんなに楽しそうに女子と話す湊、俺は初めて見たけど」
康太も隼人も、さっきまでの顔は消え去り、真剣な顔になっている。
「まぁ、気が向いたらな」
そう言って俺は弁当にありつく
でも頭の中はさっきの康太の話と由理のことが大半を占めて居た。
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