転生貴族の異世界無双生活

guju

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幼少期③

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ヒヒィンと馬が鳴くと、教会に着いたのであろう、アルトが乗っていた馬車はゆっくりと減速し、停車する。

御者が御者席から降りると、アルト達が乗っている客車の扉を開く。

「グラン様、教会にご到着致しました」

「有難う」

父様は一言礼を言い、馬車から降りる。

それに続くように母様、兄様が降り、最後に僕が降りる。

教会の前には、黒の服を纏った数人の女性と、白い服に身を包んだ60歳程度の老人が深々と頭を下げた

「辺境伯様、ようこそお越しくださいました。この度は次男アルト様の洗礼とお聞きしています」

「あぁ、そうだ。アルト、挨拶をしなさい」

「ご紹介に預かりました、アルト・フォン・クリードです。今日はよろしくお願いします」

アルトは老人に頭を下げる

「これはこれは、よく出来たお坊ちゃんで……私は、クリード辺境伯の教会の神官を請け負っております、ナルマと申します。以後お見知り置きを」

神官のナルマはアルトよりも深く頭を下げた。そのような事が出来るあたり、教会の人間は教養があるのだとアルトは思った。

「では、早速ですがご案内致しても?」

「あぁ。頼む」

アルト達は、神官に連れられ、洗礼を行う場所へ向かう

壁や天井は白で統一されており、大きなステンドガラスから差し込む光は、その白を輝かせる

誰も言葉を発することが無いため、教会には足音が響く。

教会という神聖な場所、話す事がしずらい空気だったのだろう。

しばらく歩くと、あるひとつの大きな扉の前で立ち止まった神官はくるりとこちらを向き、その沈黙を打ち破るかのように話し出す

「皆様、こちらが洗礼祭壇で御座います。洗礼を受けるアルト様は祭壇の銅像に片膝をついて目を瞑って下さい。私達は隣の部屋で待機です」

「わかった。アルト、行って来い。」

「はい」

「終わりましたらお隣の部屋までおいで下さい」

アルトに一礼をすると、父様たちの方へ向かい、隣の部屋へ移動する

横に控えている修道士達が大きな扉を開く

「アルト様、どうぞ中へ。終わりましたら内側からノックして頂ければ扉を開けさせていただきます」

「分かった」

中に入ると、真っ白な空間にあったことのある神が目の前にいるかのようなリアルな銅像、思わず見とれてしまった。

「これは、凄いなぁ」

窓から差し込む太陽の光が丁度神々の銅像にあたり、その美しさが向上する

僕は言われた通り祭壇に上がり、銅像の前で片膝を立て目を瞑る。すると目の前が白く包まれる。

謎の光が去った後目を開けると、そこは以前来たことのある場所、そう転生前の部屋だった。

「やっときよったかい。久しぶりじゃの、湊いや、アルトといったほうがいいかな?」


「絶対神様でしたっけ?」

同じような部屋ではあるが今回はは位置が異なる。以前は僕を取り囲むような状態だったが、今回は対面だ

「ホッホッホ、覚えておったか。それよりどうだ? 未知の世界は」

アルトは少し微笑みながら、その裏に思い出したかのような悲しみを見せ言う。

「暖かい家族が居るので、楽しいです。前世では、何も無かったので……」

絶対神様はそれは良かったと笑顔で言ったが、直ぐに真剣な表情に変わる

「なるべくお主の生活を邪魔したくはないのじゃが、ひとつ頼まれてくれないか?」

「頼みとはなんですか?」

「あぁ、今お主がおる世界に邪神とよばれる者がおる。それを討伐して欲しい」

邪神? テンプレではあるが……

「脅すような形になるが、いずれはお主の大切な人や、者を脅かす存在となろう。じゃから、早くに討伐して欲しいのだ」

大切なものを奪う

その言葉にアルトは異常に反応し、直ぐに答えた

「引き受けます。大切なものを奪われるのは嫌です」

「そうか、有難いの。どこに潜んでおるかは分からんが、10年以内には封印が解けるじゃろう」

「分かりました」

そしてまた視界が白く包まれた。

現実世界に戻った僕は、言われた通り扉をノックする。

扉が開いたので、僕は外に出てみんなの元へ向かう

「終わったか」

「父様、終わりました。」

「アルト、良かった。結果は帰ってから、夕食時に聞く。それではナルマ神官ありがとう。」

神官は頭を下げ、馬車まで見送ってくれた。

馬車の中では熱で寝込んでいた時に起きたことをみんなが話してくれた。

家に着くと、父様が僕の部屋に来た

「アルト、夕食までまだ6時間程ある。洗礼も終わったことだし、一人で街に行くことを許可するぞ。」

そう、5歳の洗礼が終わるまでは、我が家では1人での街への外出を制限されていたのだ。

「ありがとうございます。嬉しいです」

父様が部屋を出ると、僕は直ぐにお金を持ち部屋後にする。

家を出て5分ほど歩くと少しずつ街が賑やかな場所になって行く。

タレの甘い香りや、子供達の話し声、立ち話をしているおばさん達。

僕は自分の領地がいかに平和かを実感しながら歩く。

そして、僕はひとつの建物の前で足を止める。そう、ギルドだ

ギルドとは犬を探すことからモンスター退治、護衛まで金さえ積めばなんでもこなす言わば万屋のようなものだ。

異世界といったら冒険者ギルドだろうと言うことで一番ここに来たかったのだ。

「はいるか」

ギギィ

少し軋んだ音の扉を開けるとそこにはボードを見る人、受付に並ぶ人、酒場で飲み食いをし話している人など様々な人がいる。

僕は受付に並ぶ。
10分ほど待って僕の順がやって来た。

受付嬢はやはり全員美人で冒険者のやる気を引き立てるためだとかそうで無いとか……

そんな事が前世で読んだラノベに書いてあったような気がする

「僕、今日は依頼かな?」

受付嬢にそう尋ねられる。まぁ、側から見たらただの5歳だからあたりまえなんだろうが

「いえ、違います。新規登録に来ました」

すると後ろから大きな男共3人が列を無視してやって来た。

「おいおい、クソガキが登録なんてはえぇよ。うちに帰ってねんねしてろ! 俺たちが子守唄歌ってやろうか」

「「ギャハハハ」」

後ろの2人が大笑いしている。

周りでは、可哀想に等の哀れみの言葉が呟かれるが、これもまたテンプレであるので、アルト自身、かなりワクワクしているのだ

そんな中、声をかけてみたいのを堪え、事が悪化する事を想定してその男達を無視するのであった。


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