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奴隷

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世には、思い立ったら吉日という言葉がある。
何かをしようと決意したら、その日を吉日として直ぐに取り掛かるのがいいという意味だ。

ゼロは、そんな言葉を頭に浮かべながら先程まで読んでいた本を閉じて立ち上がった。

「ルーシェ、少し出かけるぞ」
「え? なんでですの? 」
「奴隷を買いに行くんだ」
「そうか、分かった」

ルーシェは作業の手を止め、ベッドに無造作に置かれていたコートをはおった。そして、止まった。

「って、奴隷!? またなんでですかい? 」

なんだ、反応が遅いぞと言わんばかりの溜息をゼロはひとつ吐く。

「さっき言ったろう、料理の出来る人材が必要と」
「でも、持ち運べんですけぇ無駄になるんちゃいますか? 」

持ち運べないとは、鍋やらの道具や、生の食材だろう。
だが、ゼロには関係ない。
時間が止まった空間に入れておけばいいのだからだ。

「なに、問題ない。気にするな」
「まぁ、マスターがそう言うなら」

納得したかしていないか曖昧な表情でルーシェは一応納得した。

「さて、奴隷商に行くぞ」
「分かりやした」

って、今回の支払いも俺が払うんだけどな……

そう心の中で小さくボヤくルーシェだった。
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