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帰還2
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それからすぐ、ルーシェは目を覚ました。
それは、ゼロが''風雨の斗牛''で殺した男の死体を焼いていた時だ。
「うぅっ……ゼ……ロ……?」
左目の傷を抑えながらゆっくりと身体を起こした。
「大丈夫か? 」
「あ、あぁ……嘘みたいにピンピンしとる」
つい先程まで曲がらぬ方向に曲がっていた腕や足を触りながら答える。
「だが、その目は無理だった。お前が……拒んだのだろう? 」
「あー、ゼロにはお見通しですかい」
ルーシェは既に血は止まり、抉られて傷ついた目を優しく撫でる。
「これは……俺の罪だ。彼女を……守れなかった」
右目に涙を浮かべたルーシェはゆっくりと堪える。
左目からは、涙が垂れる事は無い。
「お前……知ってたのか」
「最後の奴の反応を見てな……って、それより奴はどこや? 」
「あいつは消し去った。つい……」
「プフっ! アハハ! 」
突如腹を抱えて笑い始める。
何がおかしいと、ゼロが言うと、笑いすぎて乱れた息を整えて言った。
「ついでアイツを消してしまうって……面白すぎるやろ……あかん、おもろいわ」
そう言ってまた笑い始めた。
「何が面白いんだ」
ゼロが小声でそう呟くと、ルーシェはゼロ前に立ち片膝を着いた。
「ゼロ、今回は助かった。ありがとな」
そう言って頭を下げる。
どこで知ったのやら、これは王国騎士が国王に忠誠を違う時に行う礼だ。
だが、そんなことをるよしもないゼロは気にするなとルーシェの頭を撫でた。
「本当に、ありがとう」
改めて言うルーシェに背を向けて、ゼロは歩き始める。
「おい! 早くしないと放って行くぞ」
「あ、待ってやゼロ~! 」
そう言ってゼロを追いかけるルーシェの顔には、長年浮かばなかった心からの笑顔と、一筋の涙が浮かんでいた。
それは、ゼロが''風雨の斗牛''で殺した男の死体を焼いていた時だ。
「うぅっ……ゼ……ロ……?」
左目の傷を抑えながらゆっくりと身体を起こした。
「大丈夫か? 」
「あ、あぁ……嘘みたいにピンピンしとる」
つい先程まで曲がらぬ方向に曲がっていた腕や足を触りながら答える。
「だが、その目は無理だった。お前が……拒んだのだろう? 」
「あー、ゼロにはお見通しですかい」
ルーシェは既に血は止まり、抉られて傷ついた目を優しく撫でる。
「これは……俺の罪だ。彼女を……守れなかった」
右目に涙を浮かべたルーシェはゆっくりと堪える。
左目からは、涙が垂れる事は無い。
「お前……知ってたのか」
「最後の奴の反応を見てな……って、それより奴はどこや? 」
「あいつは消し去った。つい……」
「プフっ! アハハ! 」
突如腹を抱えて笑い始める。
何がおかしいと、ゼロが言うと、笑いすぎて乱れた息を整えて言った。
「ついでアイツを消してしまうって……面白すぎるやろ……あかん、おもろいわ」
そう言ってまた笑い始めた。
「何が面白いんだ」
ゼロが小声でそう呟くと、ルーシェはゼロ前に立ち片膝を着いた。
「ゼロ、今回は助かった。ありがとな」
そう言って頭を下げる。
どこで知ったのやら、これは王国騎士が国王に忠誠を違う時に行う礼だ。
だが、そんなことをるよしもないゼロは気にするなとルーシェの頭を撫でた。
「本当に、ありがとう」
改めて言うルーシェに背を向けて、ゼロは歩き始める。
「おい! 早くしないと放って行くぞ」
「あ、待ってやゼロ~! 」
そう言ってゼロを追いかけるルーシェの顔には、長年浮かばなかった心からの笑顔と、一筋の涙が浮かんでいた。
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