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【第3世:もうひとりの自分】

エリートファイブ(社長視点)

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    落ち着いて考えてみると個性的ではあるが、何故この非社会的な人間がこの会社にいるかなんて、考えれば何もおかしいことなんてないじゃないか。



 この五人を雇用したのは他でもないこの会社の社長である私なのだから。



 そしてこの四十階建ての高層ビルに社員はこの幹事五人と私だけ。
 それでも年商五百億を稼ぎだす異色の会社。服装や態度が非社会的でも結果を出していることに違いはない。



 冷徹な鉄仮面で眼鏡スーツの秘書『鈴木一哉すずき かずや』は私だけを敬い敬語で話すが、他の従業員には氷のような冷徹さを見せる。特に兄である神一郎のことは嫌いみたいだ。細身だが、底無しの胃袋を持つ大食い。



 糸目で京都弁の『東大寺神一郎とうだいじ しんいちろう』は鈴木の双子の兄。
    双子なのに苗字が違うのは、親が離婚して再婚して~みたいな?と大チャンは濁しているが、真相は鈴木も語ろうとしない。

    役職は社長補佐だが、補佐は秘書の鈴木がやってくれるので役職の肩書きだけなところがある。



 『モチーフィナル・マルジェラ』通称モチーフはこの会社の料理人だ。
    料理もお菓子も飲み物も…飲食すべてモチーフの担当で、和洋折衷どの国の料理でも作れてしまう天才だ。

    しかし、天才が故にそこに目をつけた底無しの胃袋を持つ鈴木によく食料庫の食材を平らげられ、懐も精神的にも日々泣かされている。



 社会どころか世間的にもその格好はアウトだろと言いたい全身ジャージの『赤木黒一あかぎ くろいち』通称チリ毛は、便所サンダルにボサボサの頭から不潔な感じが漂うが、実はこの中で一番の潔癖症である。
 
    役職はもちろん清掃員。この無駄にそびえ建つ大きな建物に塵ひとつないのはチリ毛のおかげ。
    掃除を徹底してやるせいなのか、神経質な性格のせいなのかわからないが、目の下のクマが消えることがない。



 そして一番気になるところではあるこのビジュアル系の男は、『綾小路照光あやのこうじ てるみつ』通称ポチ。

    しかし、ポチの外見は猫目で爪先も尖っていてまるで猫のよう。
   それなのに何故呼び名がポチなのかというと、この会社の"居候"だからだ。役職は情報管理官という他社から情報を得る収集(スパイ)活動が主なのだが、その仕事がないことが多いせいで、この会社に居座り、タダ飯を食べ、社長に忠誠を誓う姿からポチと嫌味もふくめ大チャンが名付けたのがきっかけ。

 しかし、それを都合良く勘違いしたポチは大チャンを名付け親として気に入る…………というか、まぁ、ホモ寄りのバイセクシャルなので大チャンを狙っている。
    本人曰く男も女もイケるらしいが、雑食というか、そんなところも犬っぽいと私は思う。



 鈴木にしても何にしても、そんな個性だらけの人材を雇った私も、改めて考えると異色だらけな会社だと思う。

 それでも、ひとりひとりが何かに特化したところを持っているので、私は彼らを『エリートファイブ』と呼んでいる。
 会議もそのエリートファイブの今後の活動やら何やらを話すミーティングのようなもの。



 そんな異色すぎる会社に異色すぎる社員。



 それが私の会社、クロス社なのだ。
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