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ギルド大国

宮殿~フラグ~

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  少し落ち着き俺は立ち上がった。この階段を上がれば王様の部屋だ。やっとここまでたどり着いた感じだ。アテスタート家が助けに来てくれなかったら俺達は完全に"死"を迎えていただろう。結局は仲間という存在が一番強いのだと改めて実感させられた。

「ありがとう、ここからは俺が…」

「礼はいいんだ、ここからも一緒に行こうぜ。ブリーフマン。あと俺達の事はアテスタート家じゃなくてハリスと読んでくれ」

 すると横からも

「俺はキミエルだ」

「俺はルーカスだ、よろしく」

 二人の自己紹介が終わり宮殿最後の部屋玉座の間へと乗り込むことに。気合い入れないとな。

  俺達は階段の一歩一歩を踏みしめながら恐る恐る上がった。別にトラップが有るわけではないが王様直属の護衛軍であの強さだ。王様はそれ以上と考えると桁違いだ。伊達にSランクを名乗っていない。

  俺達は長い長い階段を登りようやく光が見えてきた。が、

「止まれ!」

 ハリスが叫んだ。がもう遅い。俺は足を踏み出していた。ガコンと嫌な音がなる。
 "トラップが有るわけではない"
 くっ、あれはフラグだった。

  ハリスはあちゃーという目でこちらを見つめている。見つめてないで対処方教えて、ねえ未来視で見えたんでしょ?

  やっとハリスが動きだし、みんなもそれに従った。それは唯ひたすらに長い長い階段を下るだけ。未来視は未来が見えても対処方までは見えないらしい。だから入国試験の時、初発は避けれなかったのか。使えない能力だな。カルキと戦ってる時には羨ましく思えたが今となってはそこまで欲しい能力ではない。

  そして何故ひたすらに階段を下ってるかって? それは・・・後ろには大きな球体が転がって来ている。あんなのぶっ壊しても階段が塞がれて終わりだ。ということで、ひたすら階段を下る。時々階段が崩れるがそれは何とか対処出来る。が、横から弓などが出て来るのはなかなか難しい。俺の場合は黄色ブリーフを常に被っているためいつでも交わす事が出来る。ピナの場合は聖霊魔法で俊敏さを底上げしている。てかさ今思ったんだけど何で聖霊魔法なのに精霊の加護を受ける訳? 何で誰も突っ込まないんだろう、そう思うのって俺だけなのかな? こっちの世界では聖霊=精霊なのかな? 今度ギルド図書館で調べよっと。んで話変わるけどアテスタート家は物凄い速さでトラップをことごとく交わしていく。何て言うか凄いよ。うん、十帝より強いんじゃない? まぁ団長を追い込む位だし相当な強さだとは思っていたがここまでとは。アイギスはというと…魔法で壁を突き破って一人で逃げた。

  結局団長と戦った闘技場らしき部屋まで降りてしまった。大きな球体は壁を突き破って外へ落ちていったが幸い下は湖だったので怪我人は出なかった。元々怪我人が出ない仕組みになっていたのかもしれない。因みにアイギスさんは天井を突き破って戻ってきた。呑気だなこの人は。俺はふうっとため息を着きまたあの長い階段を見る。

「あっ、」

 その一言に一同は振り向きみんなも唖然と口を開ける。目の前に広がる無残な光景。到底階段があった場所とは思えない程の瓦礫の残骸があった。それは大きな球体によって潰された階段の跡だ。此処は本当に宮殿なの? もう玉座までたどり着く事は不可能だろう。入り口が塞がれただけならまだしも玉座の間に続く全ての瓦礫を要り分けて登るのは相当骨がいる。ハリスの未来視でも流石にこれは予想してなかったようだ。

「どうする? 別の道ってあるのかな」

 侵入者が来た時にこれが発動して階段をぶっ壊すのだから隠し通路位は何処かにあると思うのだが・・・

「そんなものはない」

 カルキの声だった。

「万が一の為に作ったトラップだが此処までたどり着く冒険者はいないと思っていたからな」 

 カルキはどうしよもないと言うかのようにこちらへ視線だけを送った。

「こりゃ大変な事になったな、かはは」

「これはこれは、到底頭脳派の君がしたとはおもえないね。ふふ」

「何をやってんだか、ハプニング起こしすぎなんだよ」

 後ろから声がする。この声は―――

「お前ら何故ここに?」

 カルキが問うとようやくカルキの存在に気づいた十帝メンバーが驚愕した。

「「「団長が負けた!?」」」

 団長(カルキ)は十帝メンバーの中では絶対に負けない存在だったらしい。カルキは居心地悪そうにふっと笑った。

「ほっほっほ、まさか此処まで来るとはな」

 誰だ、サンタクロースみたいに笑うやつは? 俺は横目でちらりとみると、そこには武装した王様がいた。

「お、王様」

 十帝の皆は頭を下げる。カルキは頭を地面に叩きつけた。うわー、痛そう。

「君達はよくやった。まさか力を抑えたとは言え十帝を倒すとは思わんだぞ」

 え? 力を抑えた? ならやっぱり十帝ってもっと強いの? そらギルド大国の王直属護衛軍だもんな。Aランクの集まりみたいなもんだろう。

「かはは、もっと楽しみたかったが本気出したら殺しちゃうんでな、かはは」

「あなたの戦い方は無能よ、あたしの本気と殺り合わなかったことを幸運に思いなさい」

「力を抑えられているとはいえ、魔力の暴走に巻き込まれて負けるとは思わなかったな」

 みんな口々に言い訳を溢す。まぁ本当の事なのだろうけど。団長はというと力を抑えているとはいえ負けた事が悔しいらしい。

「それでだな、試すような真似をしてすまなかったな。本当は誰も殺すつもりはない。唯、強さを計りたかっただけだ。だが此処までたどり着いたなら問題ないだろう。最後の試験だ。私を圧倒的強さでねじ伏せろ。私を降参させれば認めてやる。もし出来なければ唐突に去るがいい」

 やっぱそうなるよな。侮れないギルド大国。十帝メンバー達は団長を抱えて闘技場の観覧席へと去っていった。それより王様をねじ伏せられるのは皆無に等しい。

「一人ずつかかってこい。一人でも私を認めさせられたらみんな合格とする」

 王様は剣を引き抜きさぁこいと構える。さてこちらはだれから・・・うん、アイギスね。

「さて始めようではないか」

 アイギスは真っ先に剣を引き抜き楽しそうに笑う。王様もニコッと笑いコクッと頷く。それが合図だったのかアイギスは王様に向かって走り出した。

  アイギスの目付きが変わり戦いに集中する。アイギスの得意技、十字切り(俺がかってに着けた技名)が炸裂する。だが王様も負けておらず一歩も動かず剣を受け流した。剣で押し返されたアイギスは仰け反り無防備となった腹に剣の鞘がめり込む。アイギスは遥か遠くに吹き飛ばされ壁に激突する。アイギスがぶつかった衝撃で壁にヒビが入る程だ。強い、これがSランクの強さ。

  アイギスは壁に衝突した痛みが全身に周り立つのが精一杯の様子だ。だがアイギスはエルフだ。魔法には長けているため回復魔法でどうにか立ち直る。

「ほう、エルフにして剣士か。なかなか楽しめそうだ」

 王様は不適に笑い、アイギスを挑発する。アイギスはキッと睨み付けまた王様へと突っ込む。だがアイギスだって馬鹿ではない。さっきと同じ自分に負荷のかかる攻撃はさけ受け流されても耐えられる攻撃にしたようだ。

 剣と剣が交わり甲高い金属音が鳴り響く。
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