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惑星エルリス
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しおりを挟む総帝からの通達はエデンに帰還後直ぐに各国の王に通達された。
賢い王は直ぐに体制を見直し、ルチル王国の様なことが無いかの確認を急ぎ、総帝宛に報告書が届いた。
やはり何処にでも愚か者は居る、異議を申し立ててきた命知らずの王が二人居たのだ。
「ガリル王国とアスタナ王国ですか…」
「クロード、どうする?」
「まずは帝会議にかけます。午後一番で会議を開くのでその旨を帝達に伝えてください。」
「分かった。」
俺は考え込んだ、ガリル王国についてはある程度予想はしていた。
しかし、アスタナ王国は予想外だった。
清廉潔白な王の統治の元、国民は飢えること無く街も賑わっていた記憶がある。
ガリルについては後暗い噂は何度も耳にした事がある。
違法魔術に人身売買…その殆どが貴族が関わっている。
国民の安寧に心を砕かない王など必要ありませんね。
午前中の執務をこなし会議室へと急いだ。
「では帝会議を始めます。焔帝…」
「はい、先日総帝の名の元各国の王に通達したところ二カ国から異議申し立てがありました。」
「ほう…総帝様からの通達に異議があると?」
そう低い声を出したのは風帝だ。
「その王は命が惜しくないのかしら?賢い王は好きだけど、愚かな王は嫌いよ。」
水帝は心底軽蔑した様に言った。
「して、何処ぞの国なんじゃ?」
「ガリル王国とアスタナ王国です。」
それにほぅーと土帝は立派な髭を撫でた。
「ガリルって言ったら前々からヤバい噂があったでしょ?ガリルは何となく分かるけどアスタナは何故?」
不思議そうに風帝が言う。
「私もガリル王国については予想していましたが、アスタナ王国については予想外でした。」
「総帝様、ガリルは潰すとしてアスタナについては少し調べて見た方がいいかしら?私が行ってきましょうか?」
「はい、それについては水帝と風帝にお願いします。3日で何とかして下さい。私は先にガリル王国に向かいます。何かあれば招集を掛けるので宜しいでしょうか?」
「「「「承知しました。」」」」
こうして俺はガリル王国に向かう事になった。
嫌な予感がする中ガリル王国に向かう準備を始めた。
ーコンコン…
「どーぞー。」
「はぁ…クロードお前誰か確認してから入れろよ。何度も言ってるだろう?」
「大丈夫ですよ、ラファイの気配だと分かって居ましたしね。」
ラファイは全くと呆れるのだった。
「準備は出来てるか?」
「はい、もう出れますよ。今回はラウも連れて行きます。」
すると俺の執務室の大きな窓一杯に虎に似た真っ白な獣が顔を見せた。
「久しぶりだなラウ。」
『うむ、ラファイとは数ヶ月ぶりか?今回は我も行く最近退屈していたのでな。』
窓を開けてラウを呼ぶ。
「ラウ、俺の肩に乗れる位の大きさになって下さい。今回は転移は使わないので。」
『うむ、承知した。』
小さくなったラウはヒョンっと窓から入ると俺の肩に飛び乗った。
ラウの紹介をしておきますね。
ラウはクリスタルウルフで所謂聖獣です。
個体数が少ない…と言われていますがラウの話だと森の奥にちゃんと生息しているらしいです。
ラウは俺の育ての親と言っても過言ではありません。
ラウが居なければ俺は今生きていなかったでしょう。
まぁその話は追追していきたいと思います。
俺の箒はラウから貰った牙から作られていて青く光るクリスタルの箒です。
クリスタルウルフは定期的に牙が生え変わるのでラウから貰いました。
「儂も連れて行きんしゃい!」
そこに現れたのは土帝、岩の上に胡座をかいて腕組みしている。
「土帝も来てくれるんですか?心強いです。」
「ちときな臭いからのぉ、任せんしゃい!」
ガッハッハッと笑う土帝とラウ、ラファイた俺でガリルへ向かう事となった。
俺は箒、ラファイはラファイ専用のボードに乗って行きます。
ラファイのボードは常に炎魔法を使い続けなければならないのでまずラファイしか乗りこなせない代物です。
他の人が乗れば直ぐに魔力が底をついてしまうでしょう。
俺も挑戦しましたが、魔力的には問題無かったのですがバランスをとるのが難しく落ちました。
「では行きましょうか、途中通過する村の様子も確認しながら行きます。」
「分かった。」
「了解じゃ。」
そして俺達は最初の村を目指して飛び立った。
「総帝様!その肩に乗せてるのがラウ様かのぉ?」
「そうです。そう言えば土帝はラウと会うのは初めてでしたね?」
「うむ、噂には聞いとりましたが以外と小さいのですなぁ?」
「いいえ、今は移動の為に小さくなってもらっているだけですよ。そうですね、丁度夜ですし…ラウ元の大きさに戻りますか?」
『うむ、では我も空を翔けよう。』
「土帝見ていて下さい。きっと驚きますよ?」
俺の肩から飛び降りたラウはボウンッと煙に包まれると想像以上に大きな巨体が現れたら、
「あわぁぁぁあ!なんじゃーこりゃー!デカいにも程があるっちゅうもんじゃい!」
「ははっ!これが本来のラウですよ。」
俺達は更に高度を上げラウと共に夜の空を飛んだ。
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