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惑星エルリス
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しおりを挟む総帝一同はルチル王国王城前に姿を現した。
右から風帝エメラルドグリーンのローブフードの中央には大きなエメラルドが光って居ます。
光帝はクリーム色のローブ、フードにはダイヤモンド。
土帝は茶色のローブ、フードには琥珀。
焔帝は朱色のローブ、フードにはルビー。
水帝は水色のローブ、フードにはアクアマリン。
闇帝は真っ黒なローブ、フードには黒曜石。
そして彼の前に立つおれは真っ白なローブにフードを深く被って居ます。
フードには総帝の印、金で形作られた太陽のマークが入っています。
これが帝達の正装、民の前に出る時は決して顔を見せない様フードを深く被ります。
七人の帝の登場により王城前はざわつき始めました。
俺は更に前に出て魔法で拡声し、国王に向けて口を開いた。
『私は総帝、ルチル王国国王に面会をし望む。速やかに道を開けよ。』
民は口々に総帝様だの帝様達など騒いで居るが城の門は一向に開こうとはしなかった。
「仕方ありませんね。風帝。」
「畏まりましたっと!」
風帝の風魔法で城の頑丈な門は粉々に切り刻まれた。
これは警告です。
『行きますよ。』
俺の指示と同時に帝達と俺は国王の前に転移した。
「ひぃっ!お助け下さい!」
王座の後で縮こまり震える国王。
そして真っ青な顔をした臣下が並んでいた。
「何故私達が来たか分かりますね国王?」
国王は俺の声が聞こえないのか震えるばかりで助けてくれとブツブツ言っている。
「助けてくれ…余は何もしておらん!余は何も知らぬ!」
「焔帝。」
「はい、国王とその臣下に問う。貴方達が国の隅に追いやった貧しい民は配給を受けていなかった。初代総帝の名の元盟約されていた規則は知っている筈。この国の貧しい民は配給を受けられず、自らの死んだ子供を食べ食い繋いでいた。この状況を説明願いたい。」
途端に謁見の間はざわめき出した。
真っ青だった臣下達も騒ぎ出す。
この臣下達も状況は知っていたでしょうに、態とらしく騒いで気分が悪いですね。
「説明出来ない様ですね。では私からルチル王国国王に通達致します。国王ブルゼは直ちに王位と退き浮遊島ヘルに島流しとします。次期国王には第一王子であるハイゼンを国王とし、同じく臣下もその任を解きヘルに島流しとし、直ちに後継者へ地位を譲る事とします。水帝、ハイゼンを此処へ。」
「はい、直ぐに連れて参りますわ。」
水帝が姿を消すと国王が転がる様に前に出た。
「ま、待って下さい!総帝様!ヘルに島流し等!あれは罪人が行く場所です!何故余があの様な所に…」
「行かなければならないと?貴方はご自分は罪人でないと思っているのですか?貧しい民に配給を怠った罪、国の宝である筈の子供を死なせ、飢えに耐えかねた親にその子供を食べさせた罪!これが罪で無いと言うのですか?」
「し、しかし我々臣下は…」
口を開いた臣下に殺気を放ちながら近付きました。
「配給を怠った王を咎めなかった罪、民の状況を知っていたにも関わらず見ない振りをした罪、更に民に行き渡る筈の配給を懐に入れ私腹を肥やした罪!どれも重罪だと思いますが?」
「うっ…ひぃ!」
臣下は尻餅を着いて後ずさった。
俺の殺気でそんな状態なら土帝の殺気を浴びたら死んでしまいますね?
あの方の殺気は凄いですから。
「総帝様、連れて参りましたわ。」
「水帝ご苦労さまです。」
振り返ると城の騎士団の制服を着た立派な青年が跪いていた。
「貴方がハイゼンですか?」
「はい、総帝様。」
「明日から貴方が王位に就く事になります。良いですね?」
「はっ!誠心誠意努めさせて頂きます。」
「手を…」
「はっ!」
ハイゼンは手袋を取ると手をクロードに差し出した。
クロードはハイゼンの手の甲に呪文を唱えながら魔法陣を描いて行く。
「時魔法、発動。」
魔法陣は赤く光り、スっとハイゼンの手の甲に消えて行った。
「ハイゼン、貴方が父と同じ過ちを行えばたちまち貴方は灰となって消えるでしょう。」
これは私達からの呪いです。
貴方は一生父親の罪を背負って行かなければならない。
「さぁ、やる事は山積みです。ここは水帝と風帝に任せましょう。土帝は私と貧民街へ、闇帝は罪人をヘルまでお願いします。焔帝と光帝は臣下の子息に引き継ぎを臣下についてはハイゼンとも話し合って下さい。」
こうしてルチル王国は新たな国王と共にまた歩き出した。
俺は土帝と共に貧民街へ来ていた。
「こりゃ酷いのぅ?」
「何とかなりますか?」
「まだまだ若い者には負けんわい。任せんしゃい、総帝様は民をお願いしますじゃ。」
「分かりました。」
俺は貧民街の民を一箇所に集めた。
「土帝!お願いします!」
「任せんしゃい!土魔法ブレイクからのぉー再生じゃわい!」
土帝の魔法で貧民街の汚い建物は全て崩れ去り、再生てあっと言う間に新たな建物が土からニョキニョキと生えてくる。
浮いていた土帝がフワフワと降りてくる。
「土帝ご苦労様でした。」
「ガッハッハッ!まだまだ若い者には負けはせんわい!」
「皆さんこれからはここで暮らして下さい。明日より王政も変わります。配給を受けれないなどと言う事もなくなりますから安心して暮らして下さい。」
すると俺と土帝はかなりの感謝をされた。
総帝として当たり前の事をしただけの事、しかし民からの感謝は素直に嬉しかった。
そこへラファイが戻ってきた。
「総帝様…」
「焔帝、今後この様な不届きな王は決して許しません。総帝の名で各国の王に通達を、異議がある王には私が直接出向きます。」
「はい、その様に通達致します。」
こうしてルチル王国の問題は収束した。
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