良くある異世界で幼女は今日も頑張る!

凪 冬夜

文字の大きさ
上 下
50 / 51
海の部族

案外チョロい?

しおりを挟む

「ねぇ?サクラは何処からきたの?」

「私達はね…」
私は怪我を治したお礼に家に招待された。
怪我の子はサン、変な言葉使う子がルン。

「お主等…何を企んで居る?」

「何の事?」

「惚けるでない、あんな高位魔法ホイホイと使ってサン狙いか?」

「ルンは疑い深いんだな?サクラに他意はねぇよ?いつもあんなだ。それに振り回されるのが俺達だ。」

「ふむ…。」
納得顔のルンは「こんな幼子が…」とぶつぶつと呟いた。

「幼子?」
これに反応したのはサクラだ。

「ちょっと待ってよ~貴女も私も殆ど変わらない年じゃない?」
これにルンは憤慨した。

「何を言っておるか!妾はもうとうに80を越えておる!!」

「「はぁ?!」」
ちなみにサンもじゃ、妾とサンは双子じゃからのぉ~と目を細めた。

「詐欺だ…。」

「これは、中々…精霊の僕でも驚きですね。」

「ご長寿?」
コテンっと首を傾げたサクラにルンの盛大なチョップが炸裂した。

「天誅ーーーーーー!!」

「のわぁぁぁぁぁぁあ!!」

「そこはデリケートな事じゃ、軽々しく言うでない!」
プンスコと怒るルン、嘘でしょう?
どう見ても私と同じか少し下…。

「まぁ?人族のお主らには羨ましかろう?」
ふふふ…と笑うルンに半目になった。

「べっ!別に羨ましくなんかないんだらぁ!!」

「準備出来たよ~。サクラ此処に入って~。」
サンが持っている物を見てビックリ!なんとサンが持っているのは大きな巻貝だった。

「入るの?」

「うん!」

「そこに?」

「つべこべ言わんとはよ行かんかい!!」
バシッとルンに背中を押されたサクラは吸い込まれる様に貝の中に消えた。

「ほれ!其方も行け!」

「お、おぅ…。」
雅臣も怖々貝に触れた。
一瞬の出来事で森に居たはずが今は年季の入った屋敷の様な場所に出た。

「こっち!」
私はサンに手を引かれるまま付いて行った、それを雅臣達が追いかける。

「ちょ…サン!どこ行くの⁇」

「母上の所!」
何だと?じゃあここはサンとルンの家?

「母上ーーー!友達が出来ましたーーーー!」
サンは一室の入ると叫んだ。
そこは豪華絢爛なまるで日本で言う遊郭の様な部屋だった。

「ほんに、騒がしいのぅサンは。」
声の方を見ると扇で口を隠した正に花魁よろしくな妖艶な女の人が金屏風の雛壇に気だるげに座って居た。

「待つのじゃルン、妾より先に突っ走るでない!」
後からルンが慌てた様子で入って来た。
ルンは直ぐに雅臣にこっそり小声で言った。

「雅臣と言ったな?直ぐに何とかサクラとこの部屋を出るんじゃ。母様は余所者を嫌う、下手すれば簡単に殺してしまう!」
雅臣は目を瞠った。

「母様ーーーーー!なんて事を!いやあああああぁあぁ‼︎」
サンの叫びに顔を向けると信じられない光景を見た。
直ぐに動けず今の状況を頭が理解出来なかった。

「何故…サクラ…?」

「母様!何故こんな事を!サクラは妾とサンの友、母様とて許容出来ぬ!」
サンが怒りを露わにすると頭からピコンっと茶色い耳が生えた。
牙を剥きフーフーと威嚇した、ルンは愕然とし茫然自失。
アテネは警戒体制に入っているし、雅臣は無い頭をフル回転させていた。
サンとルンの母親は表情を崩さず背後から伸びた複数の尻尾の一つでサクラの胸を貫いていた。
サクラは思っていた、見誤ったとそこで意識はブラックアウトした。

「母様?」
ルンは血塗れになった両手を見て震え母を見上げた。

「おや、ルンなんて顔をしおるんじゃ?妾の子がこんな下賎な子供と友になるなど母として許せぬ。」

「サクラ!」
雅臣が飛び出すと同時にアテネがサクラを回収に向かった。

「誰が近う寄る許可をした?」

「グゥ!!」
雅臣は尻尾に簡単に去なされ中を舞った。

「母様!サクラを離して!死んじゃう‼︎」
必死に母に訴えるサンを丸っと無視して楽しそうに雅臣を嬲って笑う母にルンはサクラに向かって突進したが簡単に吹き飛ばされてしまった。 

「母に歯向かうか?」
パチンと扇閉じると更に尻尾の向こうが雅臣を襲った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

婚約破棄から~2年後~からのおめでとう

夏千冬
恋愛
 第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。  それも王命により屋敷に軟禁状態。肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!  改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットをして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することを目標にする。

結婚式をボイコットした王女

椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。 しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。 ※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※ 1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。 1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

処理中です...