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海の部族
案外チョロい?
しおりを挟む「ねぇ?サクラは何処からきたの?」
「私達はね…」
私は怪我を治したお礼に家に招待された。
怪我の子はサン、変な言葉使う子がルン。
「お主等…何を企んで居る?」
「何の事?」
「惚けるでない、あんな高位魔法ホイホイと使ってサン狙いか?」
「ルンは疑い深いんだな?サクラに他意はねぇよ?いつもあんなだ。それに振り回されるのが俺達だ。」
「ふむ…。」
納得顔のルンは「こんな幼子が…」とぶつぶつと呟いた。
「幼子?」
これに反応したのはサクラだ。
「ちょっと待ってよ~貴女も私も殆ど変わらない年じゃない?」
これにルンは憤慨した。
「何を言っておるか!妾はもうとうに80を越えておる!!」
「「はぁ?!」」
ちなみにサンもじゃ、妾とサンは双子じゃからのぉ~と目を細めた。
「詐欺だ…。」
「これは、中々…精霊の僕でも驚きですね。」
「ご長寿?」
コテンっと首を傾げたサクラにルンの盛大なチョップが炸裂した。
「天誅ーーーーーー!!」
「のわぁぁぁぁぁぁあ!!」
「そこはデリケートな事じゃ、軽々しく言うでない!」
プンスコと怒るルン、嘘でしょう?
どう見ても私と同じか少し下…。
「まぁ?人族のお主らには羨ましかろう?」
ふふふ…と笑うルンに半目になった。
「べっ!別に羨ましくなんかないんだらぁ!!」
「準備出来たよ~。サクラ此処に入って~。」
サンが持っている物を見てビックリ!なんとサンが持っているのは大きな巻貝だった。
「入るの?」
「うん!」
「そこに?」
「つべこべ言わんとはよ行かんかい!!」
バシッとルンに背中を押されたサクラは吸い込まれる様に貝の中に消えた。
「ほれ!其方も行け!」
「お、おぅ…。」
雅臣も怖々貝に触れた。
一瞬の出来事で森に居たはずが今は年季の入った屋敷の様な場所に出た。
「こっち!」
私はサンに手を引かれるまま付いて行った、それを雅臣達が追いかける。
「ちょ…サン!どこ行くの⁇」
「母上の所!」
何だと?じゃあここはサンとルンの家?
「母上ーーー!友達が出来ましたーーーー!」
サンは一室の入ると叫んだ。
そこは豪華絢爛なまるで日本で言う遊郭の様な部屋だった。
「ほんに、騒がしいのぅサンは。」
声の方を見ると扇で口を隠した正に花魁よろしくな妖艶な女の人が金屏風の雛壇に気だるげに座って居た。
「待つのじゃルン、妾より先に突っ走るでない!」
後からルンが慌てた様子で入って来た。
ルンは直ぐに雅臣にこっそり小声で言った。
「雅臣と言ったな?直ぐに何とかサクラとこの部屋を出るんじゃ。母様は余所者を嫌う、下手すれば簡単に殺してしまう!」
雅臣は目を瞠った。
「母様ーーーーー!なんて事を!いやあああああぁあぁ‼︎」
サンの叫びに顔を向けると信じられない光景を見た。
直ぐに動けず今の状況を頭が理解出来なかった。
「何故…サクラ…?」
「母様!何故こんな事を!サクラは妾とサンの友、母様とて許容出来ぬ!」
サンが怒りを露わにすると頭からピコンっと茶色い耳が生えた。
牙を剥きフーフーと威嚇した、ルンは愕然とし茫然自失。
アテネは警戒体制に入っているし、雅臣は無い頭をフル回転させていた。
サンとルンの母親は表情を崩さず背後から伸びた複数の尻尾の一つでサクラの胸を貫いていた。
サクラは思っていた、見誤ったとそこで意識はブラックアウトした。
「母様?」
ルンは血塗れになった両手を見て震え母を見上げた。
「おや、ルンなんて顔をしおるんじゃ?妾の子がこんな下賎な子供と友になるなど母として許せぬ。」
「サクラ!」
雅臣が飛び出すと同時にアテネがサクラを回収に向かった。
「誰が近う寄る許可をした?」
「グゥ!!」
雅臣は尻尾に簡単に去なされ中を舞った。
「母様!サクラを離して!死んじゃう‼︎」
必死に母に訴えるサンを丸っと無視して楽しそうに雅臣を嬲って笑う母にルンはサクラに向かって突進したが簡単に吹き飛ばされてしまった。
「母に歯向かうか?」
パチンと扇閉じると更に尻尾の向こうが雅臣を襲った。
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