49 / 51
海の部族
やべえよ、アイツら…マジで!
しおりを挟む早速だが雅臣に偵察の結果を聞いた。
「手強過ぎる…。」
雅臣の結果だった。
「え?そんなに?雅臣でも?」
「相手が人間なら問題ない。」
「人間じゃなかったって事?」
「いや、人?ヒト族なのはそうなんだろう…でも、何か違うんだよ。なんて言うか、違うんだ。」
全く意味が分からない。
雅臣は何が言いたいのか?
要約すると…。
雅臣は私の気配消しの魔法を掛けていたのに何回も振り向かれたり、気付かれそうになったりした。
急に切り掛かって来た人もいたらしい。
見た目には人間だが、角を持つ者もいる。
手には水掻きがあって、それが無い人もいるとの事だ。
「交渉は難しいと思うぜ?」
「う~ん、でもなぁ。」
ここまで来たらどんな手を使ってもお近付きになりたい。
きっと村の将来にもかなり良い筈だ。
「長の屋敷が多分あった、まぁ近付く事も出来なかったけどな?」
仕方なく屋敷は諦めたらしい。
どうしたものか…。
「アテネ?何か良い案は無いの?」
アテネは両手を上げて降参のポーズをした。
考えるしかない、何か手はないか?
その時、何処からか泣き声が聞こえて来た。
ーうぇ~ん!!痛いよぉ~!!
ー大丈夫じゃ!落ち着け!!
幼い…声なのだが言葉使いが独特だった。
私達は隠れながら声の方へと急いだ。
そこには足に大怪我をしている子供とそれを一生懸命慰めている子供がいた。
「大丈夫?」
コテンっと首を傾げ普通に話し掛けた、そう超普通にだ。
「サクラ…お前空気読めよ。ここはそっと様子見だろう?」
「まぁ、サクラですから。」
呆れる雅臣と何か悟りを開いた様なアテネがお互いに何か言い合っていた。
そんなん知らん!子供が怪我をしてるんだ、放って置けるかい!
「誰じゃ!お主等は!!」
フー!っと威嚇する慰めてた方の子供。
肌は浅黒いが知らない大人と子供を警戒している普通の子供だ。
「怪我したの?見せてくれる?」
「近寄るな!見たとて治せる訳なかろう!」
「治せるって言ったら見せてくれるの?」
「なんだと!」
得意げに態と言ってみた。
ぐぬぬ…となる子供を横目に怪我をしている子供の前にしゃがんだ。
「痛い?」
「うん、痛いの…うぇ~ん!!」
「直ぐに治るからね?」
「へ?」
鼻水と涙でグチャグチャな顔に少し笑ってしまった。
直ぐに再生魔法とヒールで治した。
どうしてこうなったか、ふくらはぎが抉れて骨が見えていた。
どうしてこうなった?
兎に角、今は治癒だ。
私は直ぐに再生して、一応だが包帯を巻いて置いた。
「なんじゃ!どんな魔法を使ったのじゃ!」
「治った!治ったよ!!!」
クワッと獣の様に私に詰め寄る子、怪我が治ったと飛び跳ねて喜ぶ子…元気である。
「治癒魔法だよ?」
「嘘を吐くでない!あんな治癒魔法はどありはしない!」
誤魔化せないか…。
「ありがとう!直してくれて!全然痛くないよ?ねぇねぇ!私達の家に来てよ?」
「おい!それは…。」
「お礼したいの!ダメ?」
上目遣いで見上げる怪我をしていた子、一方…お願いされた方はぐぬぬっと何かと戦っていた。
0
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

婚約破棄から~2年後~からのおめでとう
夏千冬
恋愛
第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。
それも王命により屋敷に軟禁状態。肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!
改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットをして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することを目標にする。

結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる