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ウェールズ王国
サクラ返還に向けて
しおりを挟む国王はサリスティン聖教がサクラを保護し、返還に向かっている事を伝えた。
「サリスティン聖教…ですか?」
モーリスは驚いていた。
「サリスティン聖教が落とし人様を返すと言ってるんですか?!」
アースの反応も同じだった。
ただ、一人ルイスは黙って何か考えている。
「サリスティンは何故…無償でサクラ様の返還を?何か裏があるんじゃないですか?サクラ様を手に入れたのです、黙って返すとは思えますせん!」
「ルイスの言う通りだ、私も何かあるんじゃないかと思っている。ここに呼んだ者はサクラに接しサクラの事を心から思っている。信頼出来るもの達だ、返還の際は立ち会いを頼みたい。」
「「「畏まりました。」」」
国王サイドは色々と勘ぐってはいるが、真相はサクラの我儘が通っただけの事である。
「ルイスはサクラ返還の準備を、警備を更に強化し人員を増やせ。」
「はい!」
「モーリスもルイスと共にサクラを迎えよ。モーリスはサクラ返還後、サクラ専属護衛騎士に任命する。」
「はっ!有り難き幸せにございます!」
モーリスは騎士の礼をとった。
「サクラの返還は3日後だ、急ぐ様に。但し返還は内密に行う、南の森のクリスタルの泉だ。」
「なるほど、あそこは魔物もでませんしいい返還場所ですね?」
ルイスが納得している。
「しかし、念には念をだ。警護はくれぐれも怠るな?」
「承知!では私たちは準備に取り掛かります!」
ルイスとモーリスは足早に執務室を出ていった。
残ったのはアースだ。
「私は何もする事がないのですね?」
人差し指をツンツンしながら唇を尖らせていた。
「何故だ?お主もサクラに心を動かされた一人であろう?素はどうした?隠すのを辞めたと聞いたが?」
国王もアースとは旧知の仲だ。
「あらぁ、いいの?国王様の前なのにぃ~?」
「今更だろう…。学園時代からお前も変わらん。して、サリスティン聖教の今回の行動どう思う?」
「え~、特に何も無いんじゃないかしらぁ?最初はちょっと疑っちゃったけどぉ~。だってサクラちゃん頭いいじゃなぁい?」
「ふむ、そうか。」
確かにサクラは賢い子だが、どうなのだろう。
国王がサクラ返還の準備に取り掛かる中、サクラはサリスティン聖教最高司祭シャルルと雅臣と豪華な馬車に揺られていた。
「フカフカ~!」
「サクラ、あんまり跳ねるな落ちるぞ?」
「大丈夫だよ~ぉおおお?」
「ほら見ろ。」
ボヨンボヨン椅子で跳ねていたサクラはバランスを崩し落ちる所を雅臣にキャッチされていた。
「ナイスキャッチ!」
「ナイスじゃねえよ!」
そんな二人を見てシャルルは笑った。
「仲がいいのですね?まるで兄弟だ。」
クスクス笑うシャルルにサクラらコテンと首を傾げた。
「ん?雅臣は私のお兄ちゃんだよ?」
「あぁ?そうだな。」
意外な反応に今度はシャルルがキョトンとした。
今まで落とし人に兄弟が同じ世界に居るとは聞いたことが無い。
「詳細は貴方に話す義理は無いわ。でも雅臣は私のお兄ちゃんだよ?」
「そうですか…。」
少し棘のある言い方にシャルルは少し傷付いた。
何故かサクラには優しくありたいと思うし、困っているなら助けてやりたいとも思っている。
しかし、サクラのあの拳を見ると守ると言うのも変な感じもするが兎に角サクラには笑って欲しいと思うが。
やはり、サリスティン聖教の噂は良くないのだろう。
サクラの態度を見ればわかる。
私の代では聖女を置いていない。
代わりに聖女像を聖女の間に納めてあるのだ。
これは一部の者しか知らない事だった。
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