良くある異世界で幼女は今日も頑張る!

凪 冬夜

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ウェールズ王国

雅臣の家と母

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「ヤッホーイ!!」

「耳元で叫ぶな!」

「だって風になったみたいで気持ちが良いんだもん!」
ビュンビュン走る雅臣の背中でお昼寝から目覚めたサクラが騒ぎ出した。

「もう直ぐ着くぞ?」

「本当に?!どこ?」

「あそこだ。」
高い木の上から見下ろすと、下に小さなボロ屋があった。

「ボロボロだね?」

「失礼だな!アレでも綺麗な家に引越したんだ!」
サクラはアレで?と思ってしまったがそこは黙った。

「降りるぞ?」

「うん!」
ヒューっと下に降りると雅臣はサクラを地面に降ろした。

「お母さんどこ?」

「こっちだ。」
蝶番がいまにも外れそうなドアを開けると家の中は以外に綺麗だった。
小さなテーブルに椅子が二つ、小さなキッチンに奥にはベットがあり誰か起き上がろうとしていた。
あれが雅臣の母だろう。

「ただいま、母さん。」

「あら、お帰りなさいマサオミ。まぁ!随分可愛らしいお客様を連れて来たのね!」
そう言って雅臣のお母様はキラキラした顔で私を見た。
雅臣のお母さんはとても優しく柔らかい印象で儚い美人だった。

「初めまして、サクラと言います。お邪魔します。」
ぺこりとお辞儀すると雅臣はキッチンでお湯を沸かし始めた。

「あらあら、ご丁寧に。マサオミの母のオリビアです。」

「適当に座ってろ。」

「サクラちゃん、ごめんなさいねこんな格好で。足が悪くてこのままで許して頂戴ね。」

「気にしないで下さい。突然申し訳無いのですが、足を見ても良いですか?」

「え?」

「母さん、診てもらって。」

「え、えぇ。」
お茶を持って戻った雅臣に言われ、雅臣の母親はサクラに足を見せた。

「失礼します。」
そっと足を触るとひんやり冷たかった。
血の巡りが悪いんだ。
鑑定するより治しちゃった方が早いかなぁ?

「どうだ?」
うーんと悩んでいると雅臣が心配そうにサクラの顔を覗いた。

「治せるよ?やっちゃうね?」

「え?サクラちゃん?」
パーフェクトヒール!サクラがオリビアの足に手を当てると薄い緑の光がオリビアの足を包んだ。
スっと光が消えるとサクラはニッコリした。

「治ったよ、お母さん足を動かしてみて?」

「え?分かったわ。」
オリビアは恐る恐るベットから足を床に付けた。
雅臣の手を借りて立つと歩き出した。

「歩けるわ!」

「良かった、筋力が落ちでるので暫くは家の中を歩いて慣れたら家の周りを散歩して下さい。」

「サクラ!!ありがとう!」
雅臣はサクラを抱っこしてクルクル回った。

「目が回る~!!」
ひとしきりはしゃいで皆でお茶を飲んだ。

「サクラちゃん凄いわ、お医者様も匙を投げたのに私の足を治してしまうなんて。小さいのに優秀な治癒士様なのね!」
オリビアの言葉に雅臣もサクラも黙ってしまった。

「どうかしたの?」
オリビアも不安になって雅臣を見た。

「母さん、話さないといけないことがある。」
雅臣は今回の事を母オリビアに打ち明けることにした。
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