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ウェールズ王国
国王との謁見
しおりを挟む「随分過保護だな、ルイス。」
クスクス笑う王座に座る青年。
はぁ~…この爽やかイケメンが王様なの?
若過ぎない?王様ってオッサンじゃないのが不思議で仕方なかった。
「落とし人様の御御足がお疲れになってはさまわれますので、失礼を承知でお運び致しました。」
「ふむ。」
国王は玉座から降りてくると私の目線に合わせて膝を付いた。
「私はこの国の国王、ウィリアムズバーグ…まぁ、名前は長いからなウィルと呼んでくれ。其方の名を聞いても良いかな?」
はわぁ~キラキラしてる~眩しい!!
「日下桜です!」
「クサカ…あぁ、落とし人様の名はぎゃくなのだったな!サクラ=クサカか可愛らしい響だ。では話を始めようか?サクラに椅子を!」
直ぐに私の椅子も用意されて、何やら話をするらしい。
「宰相。」
「は!陛下!落とし人サクラ=クサカ様には本日より、国王陛下と同じ位が授与されるものとする。サクラ様には王宮の一角が与えられ…。」
あぁ、駄目だ…眠くなってきた…。
幼児の部分の私がどうしても限界を迎える。
お昼寝だって必要なのだ、更に長い難しい話をされても大人の部分の私は聞けても幼女の私の部分には無理なのだ。
私は子守歌の様な宰相さんの話に船を漕ぎ始めた。
◆
不味い、サクラ様がお眠だ。
ルイスはサクラの後ろに控えていたがヒヤヒヤしていた。
椅子から落ちそうになっても上手く戻るのでその度に手が出そうになる。
「宰相、サクラには退屈だったようだぞ?」
「は、え?」
書類を読み上げでいた宰相はサクラを見てやってしまったと頬をかいた。
「ルイス、サクラをここへ。」
「畏まりました。」
ルイスはそっとサクラを抱き上げると、国王の元へ連れて行った。
「小さく、軽いのだな。」
「陛下、サクラ様はまだ幼子にございます。現実を突き付けるのは酷かと。」
「確かにな…ふっ、可愛いな。」
むにゃむにゃしながら国王に擦り寄り安心な顔をして眠るサクラに顔が緩んだ。
「カインよ、サクラを私の幼女に…。」
「なりません。陛下に同じ年頃の王子様でもおりましたら話は別ですが。」
宰相カインはピシャリと言った。
国王はガックリと肩を落とした。
「しかし、サクラ様はまだ幼く保護者が必要かと…。」
「うむ、ルイスの言う事は最もだ。保護者兼後継人は必要だろう。」
「陛下、他国の落とし人様は人との繋がりや人情と言う物を殊更大事にされていたと聞きます。私としては王宮にサクラ様を閉じ込めるのも如何なものかと存じます。」
「ふむ、ならばカインよどうするのがサクラの為になるのだ?私は母の愛情も知らぬし子も居らん。」
だから分からないのだ、と国王は切なそうにサクラの頭を撫でた。
「ルイス、一先ずサクラに関してはお前に任せる。王宮で様子を見て良くサクラを観察するのだ。何か不備があればその都度改善しよう。」
「畏まりました。では陛下サクラ様をこちらに…。」
国王はスヤスヤ眠るサクラを見て立ち上がった。
「私が運ぶ。」
「「…。」」
何だかサクラを離したく無かった。
国王も不思議に思いながらサクラに与えられた王宮の南に向かった。
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