[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33

文字の大きさ
上 下
271 / 328
全面戦争編

271 奴隷たち

しおりを挟む
 翌日、キースはキラを胸に抱き、イオと共にワイトデ自治区へと向かった。
 『移動』してしまうので、時間はかからない。
 イオの屋敷の敷地内に『移動』してきて辺りを見回した。
 数日前までは灰色に染まっていた町も、色を取り戻していた。
 イオに聞くと、町中の灰は、風を扱える者が集めて袋に入れ、町外れに回収しているらしい。
 そこから必要な分だけもらっていって、水捌けの悪い土地の土に混ぜて作物を作ったり、土嚢として使うらしい。
 過去にもそうやって灰を利用して来たそうだ。
 屋敷の中には入ると、領主、イオの両親がいて、お礼を言われた。
 ここへ来てくれたおかげで、長引かず住民達も早く家に帰れる事になって、喜んでいると。
 そしてチハヤに服を着替えされされ、彼らに連れられて、近くのやしろに来ていた。
 そこはワイトデ自治区のアリミネ火山を祀るやしろ
 そして、多くの人が集まりザワザワとしていたが、キースがキラを連れて姿を現すと、辺りはシーンと静まり返る。
 キラは驚いたのか、キースの服にしがみついて離そうとはしない。
 そんなところも可愛い…などと思っていると、イオにやしろの前に立つように言われ、こっそりと耳打ちされる。
「炎の結晶石をここで作って見せれるか?」
「…う~ん。どうだろう…」
 キースは抱えていたキラを地面に降ろし、隣に座り込む。
「キラ、ギュウッて、熱を集めれる?」
 キースが聞くとキラはじっとキースを見て、空を見上げた。
 風が吹き始め、キラの頭上に集まり始める。
 …始まった。
「イオ。炎の結晶石を冷やす場所はある?」
やしろの池を使うと良い」
 そう言って、イオは隣に有る池を視線で示す。
「お湯が涌き出ている池だから、冷たくはないが…」
 無いよりはましだろう。
 そんな会話をしているうちに、キラの頭上に炎の結晶石が赤くキラキラと輝いていた。
 回りにいるもの達は、その美しさに見惚れている。
 風が収まり、落ちてくる炎の結晶石をキースは風で包み込み、落下する場所をイオが言った池へと誘導する。
 ポトンと音がして、水蒸気が舞い上がった。
 辺り一面、真っ白な水蒸気に包まれ、しばらくすると次第に収まり、視界がもとに戻っていく。
 イオが池に入り、炎の結晶石を拾ってきて、キラのもとへ持って来た。
 そしてキラの前に膝を付いて、炎の結晶石を掲げた。
「キラ様。我らワイトデ自治区は、キラ様をアリミネ火山の守護竜としてお慕いいたします。どうぞ、お守りください」
 イオがそう言うと、回りにいた人々も膝を付いて座り込み、頭を下げた。
 ギュウッ!
 キラがそう鳴くと、イオは微笑みキラの頭を撫でる。
「よろしく。キラ様」
 キラは撫でられて気持ち良さそうに目を細める。
 そして、やしろで宴会が始まった。
 
 キラの前にいろんな食べ物が運ばれてきて、キラは興味深々に覗き込み、キースが食べるとキラも口を開けて催促する。
 キースは少量づつ手のひらに乗せて、キラに食べさせていた。
 …何でも食べるんだ。
 そこへチハヤが近づいてくる。
「キラちゃん。美味しい?」
 ギュウッ!
 チハヤはニコニコ微笑んで、手のひらに果物を乗せてキラに食べさせてあげる。
「…お祭り騒ぎになっちゃったね」
 ぽそりとチハヤが言ってくる。
「キラが認めてもらえれば良いよ。…でもこれが、後三回続くと思うと、そっちの方が気が重い…」
 キースが苦笑いすると、その言葉にチハヤは笑った。

 
 キラが炎の結晶石を作れるのは一日一個までだ。
 その日の気温と、お腹の減り具合にもよる。
 初めて炎の結晶石を作ったときは、お腹が減りすぎて貪るように作って食べていたらしい。
 魔力の制御をするようになって、人族と同じ食べ物を食べるようになって、身体と魔力のバランスが取れるようになってきたようだ。
 明日は熊族の町に行く。
 賑やかな宴が終わり、イオの屋敷の客室でキラと一緒の部屋で眠った。
 夜中に重くて目が覚めると、キースが眠るベッドの掛け布団の上に丸くなって、キラが眠っていた。
 …キラは良い子だ。
 キースは微笑みを浮かべて再び眠りについた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。 【あらすじ】 イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。 しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。 ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。 そんな一家はむしろ互いに愛情過多。 あてられた周りだけ食傷気味。 「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」 なんて養女は言う。 今の所、魔法を使った事ないんですけどね。 ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。 僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。 一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。 生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。 でもスローなライフは無理っぽい。 __そんなお話。 ※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。 ※他サイトでも掲載中。 ※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。 ※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。 ※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...