死ぬまでのおしゃべり

人々が楽しげに過ごす日曜日、『死ななければいけない』と男は思っていた。

だからスーツを着込んでマンションの屋上へと登って、タバコを吸ったら死のうと思っていたのに…吸い終わっても飛び降りる勇気はない。

「おじさんも死ぬつもりなの?」

そんな男に、裸足で座り込んでる女子高生が声をかけてきた。

その女子高生も死にたいようだが立ち上がる気配すらないので、おじさんと呼ばれた男はその隣に行って同じように座り込んだ。

「――何か話すか」

無言の時間がつらかったおじさんはそう言って、二人の死ぬ気が起きるまでおしゃべりをすることにした。
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