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第八章 今日も平和な家族
第五十一話
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しばらくは平和な日々が続いた。
けれど第一王子・ハサルの失踪が新聞で大々的に報じられ、次期国王がどうなるのかと国民たちが不安をつのらせていた頃、ケンゾンで暮らすアルに王城からの迎えがやってきた。
数台の馬車と、それを護衛するための王宮騎士たちが、突然やってきたのである。
領民たちは王家の紋章が描かれた馬車と、数多くの王宮騎士がケンゾンまでやってきたことに戸惑い、何事かと屋敷へ向かう彼らを見つめていた。
対照的にハシャラとアルは、こうなることを予想していたのか、落ち着いた表情で彼らを出迎えた。
「あ、アルアサダ様。国王陛下がお呼びですので、お、恐れ入りますが王城までお戻りいただけますか……?」
そして馬車から降りてきた役人の一人が、震える声でそう告げる。
静かにその言葉を聞いたアルは、真剣な表情で「分かった」とだけ答えて、少ない荷物を持ってそのまま馬車に乗り込んだ。
ハシャラはそんなアルを「行ってらっしゃいませ」とカーテシーをして見送った。
そこから数日掛けて王城までやってきたアルは、落ち着く間もなく、すぐに玉座の間へと呼び出された。
中央の道を開けるように左右に並び立った役人たち、彼らよりも数段上の階段を登った先にある豪勢な玉座に腰掛ける国王と王妃。
いつもであれば、国王の隣に第一王子であるハサルが立っていたが……その姿は、もうない。
アルは誰もいない国王の隣をただ静かに見つめてから、表情を変えないまま階段の前で胸に手を当てて頭を下げ、ゆっくりと口を開く。
「父上、母上。第二王子アルアサダ、ただいま参りました」
「う、うむ。よくぞ戻った。息子よ」
アルの挨拶に、国王がドギマギしながら返事をする。
息子……ね。
アルは内心思うところがありながらも、表情には出さずに顔を上げた。
顔を上げ、アルが国王の顔を見つめると、国王は分かりやすくビクッと身体を震わせていた。
かと思うと、それをごまかすようにゴホンっと咳払いをしてから口を開く。
「お、お前も知っていることとは思うが、第一王子であるハサルが行方不明となった。総力を上げて捜索をしているが、未だに見つかっていない」
「はい。存じております」
「国民は王太子であるハサルの失踪に、混乱と不安の声を上げている。そ、そこで……早めに次期王太子を決めようという話になった」
「左様でございますか」
視線を揺らしながら語る国王と違い、アルはまっすぐに国王を見つめて、淡々と返事をする。
そして国王は今日一番の瞳の揺らぎを見せたかと思うと、口を引き結び、けれど言わずに過ごすことはできないためか、やっと言いにくそうに口を開く。
「そ、そこで王位継承権から言うと、お前が王太子となる」
「……」
国王の言葉に、アルは返事をすることはなかった。
ただ静かに、国王の顔を見つめていた。
見つめられた国王は、目をそらし、さらにドギマギとしながら言葉を続ける。
「しかし……は、反対意見も多い。お前は、その……獅子神様の加護を授かり、他者を威圧するから、王に相応しくないと……」
アルの返事を期待しているのかしていないのか、国王は一人で話し続ける。
「さ、さらに……先日、ケンゾン領主との婿入りを前提とした婚約を認めたばかりで、お前を王城に連れ戻すというのも、外聞が悪いと……」
モゴモゴと言い訳がましい言葉を繰り広げる国王に業を煮やしたのか、脇に控えていた役人が手を上げながら勢いよく口を開く。
「国王陛下! けれど第一王子がお姿を消した今、アルアサダ様こそ次期国王となるべきお方です!」
口を開いたのは、ハサルが言っていた『アルを国王にと推す役人』のようだった。
本当にいたのだなと、アルは声を上げた人物をぼんやりと見ていた。
「し、しかし……アルアサダ様の威圧に、役人・国民共に怯えている者が多いのも事実だろう」
かと思うと、控えめではあるが反対意見の声も上がる。
恐らくはアル本人が目の前にいるため、力強く言うことはできないのだろう。
その本心は気遣いなどではなく、自分にアルの威圧が向くことに怯える恐怖心からくるものだと思われた。
「国をまとめるためには、恐怖や威圧も時には必要だ!」
「そりゃ、時には必要であろうが……常にとなると、それは恐怖政治になってしまうだろう」
「ただでさえ兵士不足の我が国では、諸外国に舐められないためにも圧倒的な恐怖が必要なのだ」
「しかし……」
国王もアルもそっちのけで、役人たちの言い合いが繰り広げられる。
国王は彼らの言葉を止めることなく、目を瞑って険しい表情をしながら黙って聞いていた。
隣に座る王妃は口元を扇で隠しながら、それらのやり取りを不愉快そうに見ていた。
話の中心人物であるアルは、ただぼんやりとそのやり取りが終わるのを待っていた。
頭の中では、虫魔物たちとハシャラのやり取りを、ケンゾンの領民たちとの忙しくも楽しい日々を、ただ自分を呼ばれる喜びを思い出していた。
アル様と愛称で呼んでくれるハシャラ、アルと名前で気安く呼んでくれる虫魔物たち、領主補佐様と頼ってくれる領民たち。
彼女たちとの楽しく、明るく、温かなやり取り。
それに比べて、目の前のやり取りは、本当にアルの話をしているのかと思うほど、アルの心には響かなかった。
彼らは威圧魔法を持っている王族の話をしている。
アルアサダ本人の話をしている者は、一人もいなかった。
そして両親である国王と王妃は、それを黙って聞いているだけ……かばうことも、言葉を添えることもしない。
……ここは、俺の居場所ではない。
そう思い至ったアルは、不毛なやり取りを止めるために口を開く。
「静かに」
その一言だけで、言い争いをしていた役人たちだけでなく、国王と王妃までビクッと身体を震わせて黙り込んだ。
そんな光景を静かに見つめてから……アルは早く温かな自分の居場所に戻るために、淡々と全員に告げる。
「私は国王の器ではありません。なので、どうか王族に親しい者から新たな王太子を据えてくださいませ。私はケンゾン領主の婿となり、王城からは離れさせていただきます」
アルの言葉だけが玉座の間に響き、辺りはしーんとなる。
「う、うむ。そうしよう……」
そんな中、国王だけがホッとした表情を浮かべてそう答えた。
「では用件は済んだようなので、私はこれで失礼させていただきます。どうか民のためになる、良い国をお作りくださいませ」
アルは吐き捨てるように、最後の言葉を残すようにそう言って、もう両親の顔を見ることもなく玉座の間を、王城を後にした。
彼女たちに『おかえりなさい』と、温かく出迎えられるのを楽しみにしながら。
けれど第一王子・ハサルの失踪が新聞で大々的に報じられ、次期国王がどうなるのかと国民たちが不安をつのらせていた頃、ケンゾンで暮らすアルに王城からの迎えがやってきた。
数台の馬車と、それを護衛するための王宮騎士たちが、突然やってきたのである。
領民たちは王家の紋章が描かれた馬車と、数多くの王宮騎士がケンゾンまでやってきたことに戸惑い、何事かと屋敷へ向かう彼らを見つめていた。
対照的にハシャラとアルは、こうなることを予想していたのか、落ち着いた表情で彼らを出迎えた。
「あ、アルアサダ様。国王陛下がお呼びですので、お、恐れ入りますが王城までお戻りいただけますか……?」
そして馬車から降りてきた役人の一人が、震える声でそう告げる。
静かにその言葉を聞いたアルは、真剣な表情で「分かった」とだけ答えて、少ない荷物を持ってそのまま馬車に乗り込んだ。
ハシャラはそんなアルを「行ってらっしゃいませ」とカーテシーをして見送った。
そこから数日掛けて王城までやってきたアルは、落ち着く間もなく、すぐに玉座の間へと呼び出された。
中央の道を開けるように左右に並び立った役人たち、彼らよりも数段上の階段を登った先にある豪勢な玉座に腰掛ける国王と王妃。
いつもであれば、国王の隣に第一王子であるハサルが立っていたが……その姿は、もうない。
アルは誰もいない国王の隣をただ静かに見つめてから、表情を変えないまま階段の前で胸に手を当てて頭を下げ、ゆっくりと口を開く。
「父上、母上。第二王子アルアサダ、ただいま参りました」
「う、うむ。よくぞ戻った。息子よ」
アルの挨拶に、国王がドギマギしながら返事をする。
息子……ね。
アルは内心思うところがありながらも、表情には出さずに顔を上げた。
顔を上げ、アルが国王の顔を見つめると、国王は分かりやすくビクッと身体を震わせていた。
かと思うと、それをごまかすようにゴホンっと咳払いをしてから口を開く。
「お、お前も知っていることとは思うが、第一王子であるハサルが行方不明となった。総力を上げて捜索をしているが、未だに見つかっていない」
「はい。存じております」
「国民は王太子であるハサルの失踪に、混乱と不安の声を上げている。そ、そこで……早めに次期王太子を決めようという話になった」
「左様でございますか」
視線を揺らしながら語る国王と違い、アルはまっすぐに国王を見つめて、淡々と返事をする。
そして国王は今日一番の瞳の揺らぎを見せたかと思うと、口を引き結び、けれど言わずに過ごすことはできないためか、やっと言いにくそうに口を開く。
「そ、そこで王位継承権から言うと、お前が王太子となる」
「……」
国王の言葉に、アルは返事をすることはなかった。
ただ静かに、国王の顔を見つめていた。
見つめられた国王は、目をそらし、さらにドギマギとしながら言葉を続ける。
「しかし……は、反対意見も多い。お前は、その……獅子神様の加護を授かり、他者を威圧するから、王に相応しくないと……」
アルの返事を期待しているのかしていないのか、国王は一人で話し続ける。
「さ、さらに……先日、ケンゾン領主との婿入りを前提とした婚約を認めたばかりで、お前を王城に連れ戻すというのも、外聞が悪いと……」
モゴモゴと言い訳がましい言葉を繰り広げる国王に業を煮やしたのか、脇に控えていた役人が手を上げながら勢いよく口を開く。
「国王陛下! けれど第一王子がお姿を消した今、アルアサダ様こそ次期国王となるべきお方です!」
口を開いたのは、ハサルが言っていた『アルを国王にと推す役人』のようだった。
本当にいたのだなと、アルは声を上げた人物をぼんやりと見ていた。
「し、しかし……アルアサダ様の威圧に、役人・国民共に怯えている者が多いのも事実だろう」
かと思うと、控えめではあるが反対意見の声も上がる。
恐らくはアル本人が目の前にいるため、力強く言うことはできないのだろう。
その本心は気遣いなどではなく、自分にアルの威圧が向くことに怯える恐怖心からくるものだと思われた。
「国をまとめるためには、恐怖や威圧も時には必要だ!」
「そりゃ、時には必要であろうが……常にとなると、それは恐怖政治になってしまうだろう」
「ただでさえ兵士不足の我が国では、諸外国に舐められないためにも圧倒的な恐怖が必要なのだ」
「しかし……」
国王もアルもそっちのけで、役人たちの言い合いが繰り広げられる。
国王は彼らの言葉を止めることなく、目を瞑って険しい表情をしながら黙って聞いていた。
隣に座る王妃は口元を扇で隠しながら、それらのやり取りを不愉快そうに見ていた。
話の中心人物であるアルは、ただぼんやりとそのやり取りが終わるのを待っていた。
頭の中では、虫魔物たちとハシャラのやり取りを、ケンゾンの領民たちとの忙しくも楽しい日々を、ただ自分を呼ばれる喜びを思い出していた。
アル様と愛称で呼んでくれるハシャラ、アルと名前で気安く呼んでくれる虫魔物たち、領主補佐様と頼ってくれる領民たち。
彼女たちとの楽しく、明るく、温かなやり取り。
それに比べて、目の前のやり取りは、本当にアルの話をしているのかと思うほど、アルの心には響かなかった。
彼らは威圧魔法を持っている王族の話をしている。
アルアサダ本人の話をしている者は、一人もいなかった。
そして両親である国王と王妃は、それを黙って聞いているだけ……かばうことも、言葉を添えることもしない。
……ここは、俺の居場所ではない。
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「静かに」
その一言だけで、言い争いをしていた役人たちだけでなく、国王と王妃までビクッと身体を震わせて黙り込んだ。
そんな光景を静かに見つめてから……アルは早く温かな自分の居場所に戻るために、淡々と全員に告げる。
「私は国王の器ではありません。なので、どうか王族に親しい者から新たな王太子を据えてくださいませ。私はケンゾン領主の婿となり、王城からは離れさせていただきます」
アルの言葉だけが玉座の間に響き、辺りはしーんとなる。
「う、うむ。そうしよう……」
そんな中、国王だけがホッとした表情を浮かべてそう答えた。
「では用件は済んだようなので、私はこれで失礼させていただきます。どうか民のためになる、良い国をお作りくださいませ」
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もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
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