よもやまメモ噺

福沢諭吉と生命保険噺

　日本における生命保険の歴史は、1880年11月に経済学者の若山儀一が中心となり、数人の富豪を発起人としてつくった日東保生会社から始まったという。

　当時発行された東京日日新聞で、「社員の積立を預りて隠居料または死後の手当を請負う会社」と紹介されているが、「わが国の人口は三千三百の多きあり、かかる会社の二十や三十出来たりとも依頼人はいかほどにてもあるならん」という記述もあるなど、そのニーズが疑問視されていた。

　その危惧は当たり、加入者が少ないために会社は資金繰りがうまくいかず、倒産してしまったのだ。

　翌年、現在も営業している明治生命が開業した。

　開業後9日目に宇都宮三郎という人が生命保険を契約したのだが、数年後に大病にかかった際「まだ基盤ができていない保険会社に迷惑がかかるといけない」という理由から保険の解約を申し出たが、それを伝え聞いた福沢諭吉が立て替えて継続し、明治35年に68歳で三郎が死亡すると、契約に従って遺族へ保険金が無事に支払われたという。

　では、今回はこの辺で失礼をば。