よもやまメモ噺

はじめは塩だった噺

　江戸時代、人々は柳の枝を細かくして作った「房楊枝」と呼ばれる歯ブラシのようなものを使って歯を磨いていた。

　はじめ人々は赤穂の名産である「花形塩」を歯磨き粉に使っていたが、寛永年間にあたる1625年頃から本格的な歯磨き粉が作られるようになる。

　人気商品は「房州砂」と呼ばれた炭酸カルシウムをふくんだ白い陶土で、人々はこれに丁子や龍脳などの高価な香料を混ぜてオリジナルのものを作ったという。

　歯磨き粉の値段は高級品の近清香が現在の価格だと3200円ほどで、町の物売りが売っている安いものだとおよそ200円くらいだったとのこと。

　ちなみに、江戸っ子にとって「口がくさい」というのが一番の悪口で、そう言われないように江戸っ子は歯を磨きに磨いたという。

　では、今回はこの辺で失礼をば。