よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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”とう”と”じま”噺

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 ”とう”と”じま”と、名称が色々と変わったのが硫黄島である。

 太平洋戦争の激戦地と知られるこの島の歴史が始まったのは1889年のことで、父島の住民十数名が帆船で上陸して鮫漁と硫黄採取を目的に開拓をし始め、その2年後に正式に日本の領土となったのだが、当時の移住民たちは「いおうとう」と呼んでいたとのこと。

 そして太平洋戦争後、島はアメリカの施政権のもとにおかれ、「いおうじま」と呼ばれるようになった。

 その後1968年に小笠原諸島とともに日本へ返還されて小笠原村硫黄島とされたのだが、その際に小笠原村役場はアメリカの呼び名にならって「いおうじま」と都に届けたので、東京都や国土地理院も「いおうじま」を正式名称にしたのだ。

 さらにそれから40年ほどの月日が流れた2006年、クリント・イーストウッド監督による映画「硫黄島からの手紙」が公開されて話題になると、旧島民たちを中心にかつての読み方への変更を求める動きが出て、2007年に国土地理院は正式名称を「いおうじま」から「いおうとう」に改めたのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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