よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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1番太鼓は午前2時噺

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 様々な娯楽があった江戸時代において、もっとも華やかだったものといえば芝居見物である。

 幕府が興行を許可していた芝居小屋は中村座、市村座、森田座の3座で、もうひとつの山村座は江島・生島事件によって取り潰しになっていた。

 そんな芝居見物だが、出かける当日は朝がめっぽう早かったという。

 というのも、開場を知らせる1番太鼓が鳴るのが午前2時で、2番太鼓とともに開演される時間は午前6時であり、三番叟と呼ばれる序幕前の舞がはじまって札売りが開始されるのだ。

 なので、良い席を取るためには午前6時前には芝居小屋についていなければならなかった。

 またこの頃、芝居は昼間だけの興行と決められており、午後5時には幕を下ろしていたのだが、その理由は夜間に興行すると照明用の灯火をたくさん使うので、火事の原因になるからだとのこと。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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