よもやまメモ噺

晶子ウラジオストクで詠む噺

 「君死にたまふことなかれ」でも知られているのが与謝野晶子である。

　彼女はなかなかに情熱的な女性であったようで、文士の与謝野鉄幹と少女漫画のような出会いをするや、妻から奪い取るようなかたちで結婚したという。

　鉄幹に惚れ抜いている晶子は、鉄幹のためならどんなことでもした。

　ある時作家として極度のスランプに陥った鉄幹を復活させるべく、お金をかき集めてヨーロッパへ遊学させたという。

　さらに晶子自身も森鴎外などの援助で洋行費を工面し、シベリア鉄道経由で鉄幹を追ったのだ。

　その際、ウラジオストクで詠んだのが「女の恋のせつなさやよ。晶子や物に狂ふらん、燃ゆる我が火を抱きながら、天がけりゆく、西へ行く、巴里の君へ逢ひに行く」という歌で、同地にある石碑に刻まれて残っているという。

　では、今回はこの辺で失礼をば。