よもやまメモ噺

悩むフェラガモ噺

　イタリアの靴ブランドの創始者であるサルヴァトーレ・フェラガモは天才靴職人であった。

　そんなフェラガモがつくる靴はハリウッドの映画プロデューサーや俳優たちから人気で、カリフォルニアにある店は大繁盛だったのだが、フェラガモが工場建設のためにイタリアへ戻っているうちにこの店はガタガタになってしまったのだ。

　これはワンマン経営のため、社長の目が届かないところでは怠ける者が多く、運転資金が足りなくなる事態にまでなっていた。

　当然ながら出資者はカンカンになって怒り出すが、それに対してフェラガモは「私だって我慢してるんだから、君たちも我慢してくれ」と本音をぶちまけたという。

　それでも何とか出資者を説得し、1月半振りにイタリアに戻ってみると、今度はイタリアの工場がまったく機能していない。

　イタリアの職人はプライドが高く、平気で社長の命令も無視することが原因なのだが、これに対してフェラガモは熟練職人を全員解雇するという英断を下し、新たに靴職人になるための学校を設立して若い職人たちを育てることにした結果、ようやく経営の問題は落ち着いたとのことである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。