よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

文字の大きさ
上 下
770 / 965

定年がないから噺

しおりを挟む
 定年という概念がなかった江戸時代、武士たちはいつ退職して隠居生活に入るのかを自分で決めていた。

 そのため元気な武士は70歳でも80歳でも現役で勤め続けることが可能であり、実際1834年に御目見以上の幕府役人を対象にした調査によれば、70代が39人、80代では10人の在職者がいたとのこと。

 最高齢者は西の丸槍奉行であった堀甲斐守で、御年94であったが、翌年には退職したという。

 御目見以上の幕臣が隠居する場合、隠居の理由を書いた願書、当人の身上書ともいうべき由緒書、後を譲る者の姓名を記した書出などの書類を上司に提出し、吟味を受ける必要があった。

 そして後日、隠居する本人と相続人が同行して登城し、老中や若年寄が列座するなか、当番老中から隠居と相続の申渡しがあってようやく隠居が認められたのだ。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
しおりを挟む

処理中です...