よもやまメモ噺

慶喜のイギリス接待噺

　幕末の日本では欧米各国をいかに味方にするかが重要なカギを握っており、最後の将軍であった慶喜も各国の大使を接待するなどして懐柔に励んでいた。

　ある時、イギリス公使を招いた慶喜は豪華な料理で一行をもてなしたのである。

　メニューはフィレステーキのポテト添えやローストビーフ、豚腿肉のハムのトリュフ添えといったフランス料理の数々で、調理をフランス人が行うなど本格的なものだった。

　食後にはコーヒーや巻煙草、5品のリキュールが出されるなど、慶喜は薩長に好意的なイギリスを懐柔しようと慎重に丁寧に接待したという。

　残念ながらイギリスを味方にすることはできなかったものの、イギリス公使のパークスは慶喜の態度と人柄に感激し、本国の外相に慶喜の能力や人柄を評価する報告を行ったり、ライバルであるフランス公使のロッシュにすら慶喜を絶賛した手紙を送るなど、接待の効果はそれなりにあったとのことである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。