よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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本当は昼なのに噺

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 17世紀のオランダの画家であるレンブランドの作品に「夜警」という呼ばれるものがある。

 これは当時のオランダの諸都市で組織されていた市民隊と呼ばれていた自警団が出動しようとしている光景を描いた絵画で、正式名称は「フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副長の率いる部隊」というものだ。

 昼間の出動シーンなうえに、名前に”夜”の文字がないにも関わらず、なぜ「夜警」と呼ばれるのだろうか。

 まずこの絵は全体としては暗めの色彩で描かれており、さらにこの絵の所有者となった人々は絵を保護するためにニスを塗り重ねていき、そして年月を経るうちにニスが変色したり汚れていったことでますます絵が暗くなって、まるで夜の光景になってしまい、「夜警」と呼ばれるようになったとのことだ。

 1975年に修復作業のためにニスを除去したことで、ようやくこれが昼の光景であったことが判明したのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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