よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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焼けてはたまらんから噺

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 かつて深川と呼ばれていたのが、江東区の門前仲町周辺である。

 ウォーターフロントとして高層マンションが立ち並んでいる一方で、この界隈には多くの寺が建立されているが、それにはちゃんと理由があった。

 その理由とは火事である。

 火事と喧嘩は江戸の華という言葉があったように、江戸の町は火事が多く、特に1657年に起きた「明暦の大火」では江戸城の本丸、二の丸、三の丸までが焼け落ち、10万人もの焼死者が出た。

 これをきっかけに、現在の中央区新川にあった霊巌寺が、火事の多い江戸の町から逃れるように13の末寺とともに深川へと移転。

 同時期に浄心寺も、幕府から1万坪の土地を与えられ深川へと移転し、その後一緒に移った塔頭8院が独立、こうして深川には火事を避けたい寺が増えていったのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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