よもやまメモ噺

きっかけは誤報噺

　毎年受賞者が発表される頃になると世間の注目を集めるのがノーベル賞で、名前からもわかるとおりノーベルのよって作られた賞である。

　アルフレッド・ノーベルは1833年にスウェーデンのストックホルムで生まれ、父親が機械や爆発物の製造で成功したことから幼い時から工学に興味を抱いていた。

　成人して爆発物の研究に没頭したノーベルは、威力はあるが不安定で扱いづらいものであったニトログリセリンに興味を持ち、これを安定して爆発させることのできるダイナマイトの開発に成功したのだ。

　ダイナマイトは土木工事や採掘、そして兵器として用いられたことで、ノーベルは巨万の富を築いたのである。

　そんなある日、ノーベルは「アルフレッド・ノーベル博士、史上最も短時間で最も多くの人間を殺す方法を発明し、富を築いた人物が昨日死亡した」という新聞記事を目にした。

　これはノーベルの実兄の死を、ノーベル本人と間違えた誤報であったのだが、ノーベルは大きくなショックを受け、以来自分が世間からどう思われているか真剣に気にするようになったという。

　考えた末にノーベルは、自分の死後、遺産の94％を使って”賞”を設立するように遺言したのだが、それがノーベル賞である。

　では、今回はこの辺で失礼をば。