よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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政治よりキャベツ噺

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 農民から成り上がった人物といえば豊臣秀吉が有名だが、ローマ皇帝のなかにも同じような経歴をたどった人物がいる。

 その人物とは、ディオクレティアヌス帝だ。

 ディオクレティアヌスは貧民の出で、一兵卒から成り上がって284年頃に帝位に就くと、広大なローマ帝国を東西に分け、自分は東側を統治し、西側は元同僚のマクシミアヌスをもうひとりの正帝に指名して統治させた。

 さらにそれぞれに副帝を任命することで、辺境にまで目が届くようにするだけでなく、クーデターを起きにくくさせるなど、ディオクレティアヌス帝の治世は比較的安定していたのだ。

 そして60歳の時に自ら帝位を退いて隠遁生活に入ったのだが、しばらくして後継者争いのゴタゴタから政界復帰を打診されることになる。

 それに対しディオクレティアヌスは「私が大切に育てたキャベツを見れば、もうこの楽しみを放棄せよとはいえなくなるはずだ」といって断ったという。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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