よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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100両当たったら噺

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 江戸時代、現代の宝くじのようなものとして富くじというものが存在した。

 これはもともとお寺や神社の建物を補修する費用を捻出するために許可されたもので、当選金の最高額は100両であったという。

 富くじは寺社の近くに5~6ヶ所の売り場が用意されていたのだが、売り出し枚数が決まっていたため、売り出しと同時に人々が殺到したとのこと。

 抽選は開札と呼ばれ、寺社奉行の役人2人に同心7~8人などが見守る中、売った札と同じ枚数の番号札が入った木箱が置かれ、錐を持った突き手が箱の上部に開けられた穴から中の木札を突いて、当たり札を取り出していったという。

 さて、大当たりの100両が当たったとして、それがそのままもらえるわけではない。

 まず1割の10両は奉納と決められたうえで、次の富くじを5両買わされ、さらにお約束として5両を祝儀として包んだ。

 このように20両が天引きされて80両が手取りとなったわけだが、このお金は角樽や祝いの品とともに大八車に載せられ、若い衆が威勢よく景気づけながら運んできたとのこと。

 これは「幸運な当選者がここにいるぞ。次はあなたかもしれないぞ」というPRも兼ねており、しかもこうした祝いの品の代金も賞金から差し引かれていたという。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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