よもやまメモ噺

長屋王の食生活噺

　奈良時代の貴族がどのような食事をしていたか、長屋王の邸宅跡から大量出土した木簡に、その食事内容がしっかりと記されていたという。

　長屋王は天武天皇の孫であり、権力の中枢に君臨していたものの、対立していた藤原氏の陰謀によって自害させられた人物だ。

　そんな人物がどんなものを食していたかといえば、主食は白米、黍米、うるち米、赤米で、麦、大豆、小豆などの穀類も食べていた。

　野菜は大根、カブ、ネギ、ナス、山芋、フキ、セリといった食材が粕漬けなどの漬物としても食され、果物はビワ、桃、梨、柿などをはじめ、松、トチ、クルミなどの木の実も食されていたという。

　さらにウサギやキジ、カモやハト、イノシシやシカにウマとウシといった肉類や、地方から送られてきたアジやイワシ、ウニにカキ、ワカメや昆布、海苔といった様々な海産物も食卓にのぼっていたとのこと。

　加えて長屋王の邸宅では乳牛の飼育もしており、チーズに似た生蘇しょうそも嗜んでいたという。

　もっとも、こういった豪勢な食事ができたのは一部の特権階級だけで、下級官人の食事は一汁三菜程度、庶民は黒米あるいは玄米に一汁一菜程度だったとのことだ。

　では、今回はこの辺で失礼をば。