よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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将軍登場のサイン噺

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 その場を静かにさせるために、人差し指を口に当てて「しー」という言葉を発したことがある人は多いと思うが、これはもともと警蹕けいひつと呼ばれる儀礼行為だったという。

 警蹕とは、天皇や貴人が出入りしたり、あるいは神事の時に、先払いの者が声をかけてあたりを戒める行為のことで、平たく言えば「静粛に」ということだ。

 江戸城では将軍がお出ましになる時、この「しー」という言葉が発せられ、御殿内に静寂が訪れると拝謁の儀式が始まるのである。

 時代劇などを見ていると、頭を丸めた羽織姿の御坊主衆が何人も御殿内を行き来する場面が登場したりするが、登城してきた武士を部屋に案内するなどの役目を務めていた彼らが、主に「しー」という言葉を発していた。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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