よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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東西そばうどん噺

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 ”そばの食文化は東高西低””うどんの食文化は西高東低”といった具合に、そばとうどんには地域による差が生じている。

 このような地域差が生じた背景には、土地とつゆの違いが大きく影響していた。

 まず関東地方には関東ローム層と呼ばれる火山灰が堆積した地層があり、作物を作るにはいささか厳しい土地だったのだが、そんな荒れた台地に適していたのがやせた土地でも育つそばだったのである。

 ただ、江戸時代の初期にはそばを大根のおろし汁をつけて食べていたため、江戸でもそばはそれほど人気はなかったのだが、香りの強い濃口醤油と鰹節から作られた濃厚なつゆの登場によって状況は一変した。

 濃厚なつゆをそばにちょっとだけつけて一気にすすり込むことで、のどごしと口から鼻に抜ける風味を楽しむというスタイルが江戸っ子に受け、そばは一躍人気メニューになったのである。

 一方の関西では、瀬戸内の温暖で雨の少ない気候が小麦栽培に適していたことで、香りが良い上質なうどんが作られたうえに、素材の味を活かす淡口醤油と昆布出汁を加えたまったりとした味のつゆがうどんに合っていたため、うどんが人気となっていたのだ。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
 
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