よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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連泊禁止噺

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 江戸時代、旅をする庶民が利用する宿には朝夕の食事を用意してくれる旅籠と呼ばれる宿と、素泊まり専用の安宿である木賃宿と呼ばれるものがあった。

 旅籠と木賃宿、どちらに泊まるのか旅人の自由であり、お金に余裕があるならば毎日旅籠に泊まってもよかったのだが、どれだけお金に余裕があっても、同じ宿に連泊することは原則として認められていなかったのである。

 なぜなら、宿とは「旅の途中に仕方なく宿泊する場所」と考えられており、夜が明ける午前4時頃には目的地に向かって出発するのが一般的だったのだ。

 ゆえに連泊するのは急な病気などで歩けない場合くらいで、しかも連泊することを役人に届け出なくてはならなかった。

 もし届けも出さずに連泊すると、役人が宿までやってきて怪しい人物ではないかを取り調べられたという。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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