よもやまメモ噺

港区に集中噺

　港区には世界各国の大使館が集中している。

　赤坂にアメリカ、カナダ、高輪にエチオピア、六本木にスペイン、スウェーデン、フィリピン、そして南麻布にイラン、フランス、ドイツなど、40以上もの大使館が港区内に集まっているのだ。

　なぜこうなったのか、その理由は幕末にある。

　ペリーの来航とともに長い鎖国の時代を終えた日本で、最初にアメリカ公使館が置かれたのは麻布一ノ橋交差点に近い善福寺であった。

　さらにイギリス、ロシア、フランス、ポルトガルなどの各国の外交代表団の宿泊所・公使館にも寺院が多く用いられたという。

　寺院が選ばれた理由は、聖域ゆえに外国との紛争防止に役立つと考えられたからだとのこと。

　そして、これらの寺院が多く立地していたのが今の港区界隈だったのである。

　この辺は江戸城から適度な距離感であり警備がしやすかったのだ。

　明治維新後、時の政府は麻布一帯に建てられていた数多くの大名屋敷を大使館に転用した結果、港区に大使館が集まることになったのである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。