よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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走馬灯噺

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 人は死を意識した瞬間、自分の人生の思い出が頭の中に次々と現れることがあるという。

 走馬灯と呼ばれるこの現象は、脳が酸素不足になることによって引き起こされるとのこと。

 人間の記憶のうち、特に大切な情報は脳の記憶ライブラリーに保存される。

 この記憶ライブラリーは、前列の海馬と後列の側頭葉との二重構造になっていて、記憶する内容がそれぞれ異なっていた。

 海馬は、命を守る手段など、もっとも大切な記憶を納める場所で、いつでも取り出せるようになっており、側頭葉はいつも使うわけではないが、非常時に役立つ長期間保存すべき情報を納めている。

 海馬の記憶細胞は酸素欠乏に弱く、酸素供給量が30パーセント以下になると海馬の機能が停止し、生きていくうえでもっとも重要な記憶が取り出せなくなってしまう。

 すると脳は、命を守るために側頭葉から助かる手段を必死に探し出そうとするのだが、まったく無差別に記憶を引き抜くため、側頭葉に眠っていた昔の記憶が次々と蘇ってくるのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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