よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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もともとは白噺

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 喪服といえば黒が基本であるが、その昔は白が基本であった。

 その理由は「死者と同じ色の着物を着る」風習が根付いていたからだという。

 この習慣に変化が現れたのは明治のことで、そのきっかけとなったのは1878年に行われた大久保利通の葬儀と1897年に行われた英照皇太后の大喪だとのこと。

 この時、明治政府は諸外国から国賓が集まることを考慮して、日本人の参列者にも欧米で標準的だった「黒の喪服」を着用するよう取り計らい、さらに一般国民も黒の喪章をつけ喪に服したという。

 これにより「黒は喪の色」という認識が広まっていったとのこと。

 そして黒い喪服が一般に普及するきっかけになったのは、日中戦争と太平洋戦争である。

 戦没者の葬儀が連日のようにあったなか、白い喪服は汚れやすいので扱いにくかった。

 当時の喪服は貸衣装が一般的で、白の喪服文化に困り果てた大手貸衣装屋は、汚れが目立たない黒を揃えるようになり、同様に手入れがしやすいという理由で一般庶民にも急速に広まっていったのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。

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