よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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音でタイミングを合わせる噺

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 夕方のニュースなどでカルガモが多数のヒナを連れて移動している映像を見た人はわかると思うが、親の後を追っているのはぴったり同じ大きさのヒナだ。

 その姿から、同時に孵化したことがわかるが、カモのヒナは±1時間ほどの幅という測ったようなぴったりのタイミングで誕生するのである。

 どのようにタイミングを合わせるのかといえば、そのキーは音だ。

 卵の中で成長が進んだヒナは、孵化の数日前から耳が聞こえるようになり、親の声や環境の音などを聞いて馴染むようになる。

 もちろん、親が卵を転がしたり、隣と入れ換えたりする際の振動など、物理的な情報も伝わっていた。

 孵化が近づいてくると、卵の中のヒナは卵の内側から卵殻を突き、その音を周りの卵に伝えるようになるのだが、その音には一定の決まりがあり、ヒナはそれぞれが出す音を聞いて、自分の成長がみんなより早いのか遅いのかを知るとのこと。

 孵化が遅れそうだとわかったヒナは、脳の中にある早く成長するスイッチをオンにして遅れを取り戻そうとし、逆に他の卵よりも早く孵化してしまうことを知ったヒナは、別のスイッチをオンにして成長を遅らせるようにするのだ。

 こうすることによって、ヒナたちは孵化するタイミングを合わせているのである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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