よもやまメモ噺

虫を訴えた噺

　害虫駆除には様々な方法があるが、その中でも異彩を放っているのが裁判に訴える方法だ。

　1479年、スイスのローザンヌ地方のある司祭は、農村で悪事を働くハリガネムシ一党を起訴して裁判にかけることにした。

　どんな悪事を働いたのかといえば、ジャガイモやサツマイモなどの根菜類のほか、トウモロコシや麦の根っこをかじって台無しにする。

　さらに土壌の中に潜んでいるため発見や駆除が難しく、1頭のメスの産卵数も数百個と多いうえに、孵化した幼虫は2～3年もそこに棲みつくので、迷惑このうえなかった。

　さて、被告となったハリガネムシたちは、欠席裁判のまま有罪が確定し、教会から破門されたのだ。

　無論、ハリガネムシにとっては何の影響もないことであり、翌年も元気に顔を出して、この作戦は失敗に終わったのである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。