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負の連鎖のピアノ独奏会噺
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世の中、何をやってもうまくいかない時というがあるもので、タイで行われたとあるピアノ独奏会などはその好例であろう。
1970年代初めのある年、アメリカの新進気鋭のピアニストがバンコクのホテルでコンサートを開いたのだが、その日はいつもより湿度が高かったせいか、演奏が始まってまもなく高音部の「レ」の鍵盤が動かなくなった。
演奏していたのは「レ」の音を多用するバッハの「2短調トッカータとフーガ」だったが、彼はこの曲を弾き続けることを断念して、代わりにリストの「ト短調幻想曲」を弾き始めたのだ。
すると、今度は低音部の「ソ」の鍵盤が動かなくなり、彼はなんとか「ソ」の音を出そうとピアノを足で蹴ると、ピアノの右脚が折れて全体が35度も傾いてしまった。
さすがにピアニストは演奏を断念し、観客の拍手の中退場したのだが、ほどなくして彼は消防用の斧を持って再登場し、力任せにピアノを壊し始めたのだ。
ホールの案内係やガードマンなどがやっとのことで斧を取り上げ、ようやくコンサートの幕が下りたとのこと。
では、今回はこの辺で失礼をば。
1970年代初めのある年、アメリカの新進気鋭のピアニストがバンコクのホテルでコンサートを開いたのだが、その日はいつもより湿度が高かったせいか、演奏が始まってまもなく高音部の「レ」の鍵盤が動かなくなった。
演奏していたのは「レ」の音を多用するバッハの「2短調トッカータとフーガ」だったが、彼はこの曲を弾き続けることを断念して、代わりにリストの「ト短調幻想曲」を弾き始めたのだ。
すると、今度は低音部の「ソ」の鍵盤が動かなくなり、彼はなんとか「ソ」の音を出そうとピアノを足で蹴ると、ピアノの右脚が折れて全体が35度も傾いてしまった。
さすがにピアニストは演奏を断念し、観客の拍手の中退場したのだが、ほどなくして彼は消防用の斧を持って再登場し、力任せにピアノを壊し始めたのだ。
ホールの案内係やガードマンなどがやっとのことで斧を取り上げ、ようやくコンサートの幕が下りたとのこと。
では、今回はこの辺で失礼をば。
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