よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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忘れてたピーマン噺

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 年々品種改良によって味が良くなっていくピーマンであるが、昔の日本産のピーマンといえばとにかくマズくて、舌がピリピリするだけの代物だった。

 戦前、ピーマンが日本の食卓に上ることはほとんどなく、日本の役人たちもその存在をすっかり忘れていたほどなのだが、それがピーマンの飛躍につながることになる。

 ピーマンが日本の食卓に上り始めたのは敗戦直後のことだったが、当時、食料品には経済統制の網がかけられ、ほとんどの食品は自由に売買することができなかった。

 そんななか、戦前ほとんど売買されていなかったピーマンは役人が見落として、統制の対象外となっていたのだ。

 これに目を付けたのが東京近郊の農家で、米や他の野菜は自由に作れないが、ピーマンは勝手に作って勝手に売買できる。

 しかも食糧難の時代であり、これが焼け跡の闇市で飛ぶように売れ、これをきっかけにしてピーマンは次第に日本の食卓に上がっていくようになったのだ。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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