よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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バイオリンとローラースケート噺

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 1759年、イギリス在住のベルギー人発明家のジョン・ジョセフ・マーリンは、ローラースケートの元祖ともいえるものを発明した。

 それは靴の底に木製の車輪を2つ付けただけという簡素なもので、彼はそれを余興に用いて観衆の注目を集めようとしたのだ。

 ロンドンのカーライル・ハウスで開かれた舞踏会。パーティーが佳境に入るころ、マーリンはおもむろにバイオリンを弾き始め、人々の視線は彼に集まった。

 それを確かめたマーリンは、演奏を続けたまま、自作のローラースケートをはいてスーっと会場に滑り出たのだ。

 何が起こったのかと人々はどよめいたが、ここで問題が生じる。

 マーリンは滑ることに精一杯で、止まり方を考えていなかったのだ。

 そのまま会場をまっすぐに突っ切ると、反対側の壁にあった鏡に激突。大音響とともに鏡は割れ、バイオリンは壊れ、マーリンは全治3ヶ月の重傷を負う羽目になってしまった。

 ちなみに、現在のようなブレーキパッドの付いたローラースケートが登場するのは、この惨事から100年ほど後のことである。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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