よもやまメモ噺

いんじんリュウキ

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輸入ミイラ噺

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 ミイラといえば、エジプトのものが有名であり、博物館などで大事に保管されているイメージがあると思う。

 ところが、中世の頃は逆に消耗品として人々に使われており、日本にも輸入されていたのである。

 ではなんの使用目的で輸入されていたのかといえば、答えは万能薬だ。

 頭が痛い時、胸が苦しい時、めまいがした時には、ミイラの一部を煎じて飲むと治ると信じられており、また打ち身やくじきにはミイラを水や酒で練って患部に貼ったりしていた。

 この万能薬としてのミイラ信仰はヨーロッパから伝わったもので、ミイラ自体も戦国時代にポルトガルから伝わったとされている。

 現代と違ってまともな薬がなかった江戸時代の日本にとって、ミイラは貴重な薬剤だったのだが、当時輸入されていたミイラのほとんどは偽物で、猿や馬といった動物のミイラも混じっていたとのこと。

 では、今回はこの辺で失礼をば。
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