よもやまメモ噺

棟梁は偉い噺

　アメリカやフランスなどの国のトップは大統領であるが、この大統領という言葉は英語の「プレジデント」を日本語に訳したものだ。

　1853年、浦賀に来航したペリー提督は、フィルモア大統領の親書を幕府の役人に渡した。

　役人たちは早速翻訳作業に取り掛かったのだが、ここで「プレジデント」という言葉をどう訳すかで頭を抱えることになる。

　というのも、当時の日本では海外の情報が制限されていたため、アメリカの政治制度に関する知識が乏しかったのだ。

　国のトップということで「国王」にしようという意見が出たのだが、町人出身のフィルモアを「国王」と呼ぶのはいかがなものかという意見が出て、だったら町人の中で偉い者の呼称を用いようということになり、議論の末に選ばれたのが大工の棟梁だった。

　ただそのまま用いるわけにもいかなかったので、字を”統領”に変え、さらに尊称の意味を込めて”大”の字を頭に付けて「大統領」と呼ぶことにしたのである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。