よもやまメモ噺

ものを掴むため噺

　人間の手には指紋を含めて、細かな線が無数に走っているが、これはなんのためにあるのだろうか。

　答えはものを確実に掴むためである。

　これらの線は、皮膚から細かな線が隆起した状態なので皮膚隆線りゅうせんというのだが、これによってものと手の間に摩擦力を作り出し、ものを掴みやすくする。

　ただ、これだけだとものが滑らないようにするには不十分なので、この隆線には汗の出口である汗腺や神経の末端が集められ、汗で湿り気を与えて摩擦力を強めたり、掴んだものの感触を神経で敏感に感じ取れるようにできているのだ。

　ちなみに、目が正面についているのもものを掴むためで、他の動物のように側面についていると、掴みたいものとの距離感を正確につかむことができず、空を切ってばかりになってしまうからである。

　では、今回はこの辺で失礼をば。